...擦れ違った瞬間、ハンドルを握っているがっちりとした鳥打帽の男、それと並んで腰かけている貴公子風の男とが、チラリと眼に入った、はっとして見直そうとした時には、車はもう行き過ぎてしまっていた...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「深夜の客」
...御人体(ごじんてい)がちがってらあ」「その御人体でせっせと捜すが好いや」「お前も捜しな」二人は笑い笑い擦れ違って歩いた...
田中貢太郎 「女の首」
...ようよう臀(しり)と擦れ擦れに着ている下はパンツの代りに脛(すね)一面のお白粉(しろい)を穿(は)いた脚の先へ...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...かさともさらりとも葉擦れの音がしなかった...
豊島与志雄 「道連」
...衣擦れの音がして...
直木三十五 「南国太平記」
...すると足が土と擦(す)れ擦れになるまで車が濘海(ぬかるみ)に沈んで来た...
夏目漱石 「満韓ところどころ」
...手擦れがしているのだ...
林不忘 「あの顔」
...その顔を見憶えてしまつた青年と舗道で擦れちがふたびに...
原民喜 「火の子供」
...比喩や類型が擦れちがう...
原民喜 「夢と人生」
...たとえば銀座で擦れ違う美人の数は多いが...
久生十蘭 「魔都」
...衣擦れの音が聞こえ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「煉獄」
...ほとんど床と擦れすれだった...
牧逸馬 「ロウモン街の自殺ホテル」
...女は身體をちひさくして擦れ違はうとしたが...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...かれと擦れちがいにあるく女らが...
室生犀星 「幻影の都市」
...人擦れせぬ娘たち...
横光利一 「欧洲紀行」
...もう襟もとで擦れるぢりぢりした髮の毛の音が聞えるだけで...
横光利一 「榛名」
...ウィーンばかりにいたせいかまだ外国擦れのしない真紀子の馴馴しさが...
横光利一 「旅愁」
...擦れ違うとき、「これまアお儀式みたいなものよ...
横光利一 「旅愁」
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