...「お待遠樣」とろく/\三藏の顏は見ず嗄れたやうな聲で挨拶し乍らついと擦れ違つた...
高濱虚子 「俳諧師」
...讓は女の体と擦れ合うようにして内へはいった...
田中貢太郎 「蟇の血」
...某家の横で女と擦れ違ったと云うが...
田中貢太郎 「女賊記」
...ちょっとその扇子を見せてください」許宣と擦れ違おうとした男がふと立ちどまるとともに...
田中貢太郎 「雷峯塔物語」
...用心すべきは悪擦れしないことである...
種田山頭火 「其中日記」
...面擦れのできた大作は...
直木三十五 「三人の相馬大作」
...擦れ擦れに追い抜こうとした...
直木三十五 「南国太平記」
...衣擦れの音が近づいて...
直木三十五 「南国太平記」
...擦れちがった登山の人々の...
直木三十五 「南国太平記」
...小米桜(こごめざくら)が擦(す)れ擦れに咲いていて...
夏目漱石 「虞美人草」
...しまひには三田の方も此の話に擦れ切つてしまつて...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...心なしか小村雪岱氏の纖細な筆で描かれた綺麗な表紙も何時(いつ)の間にか手擦れ垢じみて來たやうに思はれた...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...擦れてしまった靴を引き摺って...
山之口貘 「夏向きの一夜」
...擦れ違う婦人たちにしても...
横光利一 「欧洲紀行」
...濠の底で電車の黒い屋根が二つ擦れ違いざまに流れているのを眼で追いつつ...
横光利一 「旅愁」
...かげろう立つ空の青みの中に交る興亡二つの運命の描いた線の擦れ違う哀愁を身に感じた...
横光利一 「旅愁」
...彼等の手擦れで磨れて光つてゐた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...『白藤さん……じゃないですか』と、行く手の方から、ふらりふらりやって来た男が、擦れちがいざま、名を呼んだ...
蘭郁二郎 「鱗粉」
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