...立つて坐り直す着物の徴かに擦れる音も...
鈴木三重吉 「赤い鳥」
...これも往きつ戻りつホームを散歩しているのと擦れ違う...
橘外男 「グリュックスブルグ王室異聞」
...某家の横で女と擦れ違ったと云うが...
田中貢太郎 「女賊記」
...擦れちがう拍子に...
田中貢太郎 「水魔」
...黙って擦れ違って来ました...
林不忘 「安重根」
...ようよう臀(しり)と擦れ擦れに着ている下はパンツの代りに脛(すね)一面のお白粉(しろい)を穿(は)いた脚の先へ...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...附近の土が擦れていたり...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...擦(す)れ擦れになった感情が衝突して...
徳田秋声 「爛」
...「よう」と、声をかけて、一人の若い衆に、擦れちがうと、侍が一人、小者を二人供にして、足早に歩いて来た...
直木三十五 「南国太平記」
...余等は二尺計に開けた雨戸の間から躰の擦れ合うた儘外を見て居たのである...
長塚節 「佐渡が島」
...行かよふ人の顔小さく小さく擦れ違ふ人の顔さへも遥(はるか)とほくに見るやう思はれて...
樋口一葉 「にごりえ」
...小止みない竹の葉擦れとともに...
正岡容 「小説 圓朝」
...その手に乗るものですか! 阿婆擦れ女を送れば良かったの! ほんの思いつきで愛する小さな犬を犠牲にするなんて不道徳です...
R. マッケナ R. McKenna The Creative CAT 訳 「愛と月の犬」
...枕木と軌条が擦れ合った振動が...
夢野久作 「木魂」
...そんな会話が擦れ違う声の中からふと聞えた...
横光利一 「微笑」
...擦れ違うとき、「これまアお儀式みたいなものよ...
横光利一 「旅愁」
...彼等の手擦れで磨れて光つてゐた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...『白藤さん……じゃないですか』と、行く手の方から、ふらりふらりやって来た男が、擦れちがいざま、名を呼んだ...
蘭郁二郎 「鱗粉」
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