...一人の水夫があって檣(ほばしら)の上から落日の大観を擅(ほしいま)まにし得た時...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...一方には羅馬(ろま)教会の擅行(せんこう)を批難しながら他方には他の新教徒に附するに Dissenters(分離者)とか Nonconformists(不合者)とかの聞き悪(にく)き名称を以てするにあらずや...
内村鑑三 「基督信徒のなぐさめ」
...馬に跨って侵略を擅(ほしいまま)にする時にはほとんど猛火の原野を焼く如き勢いである...
大隈重信 「東亜の平和を論ず」
...十和田湖ひとり其の美を擅にす...
大町桂月 「十和田湖」
...擅(ほしいまま)に威福を作(な)す...
田中貢太郎 「続黄梁」
...特に社会科学に於てその総合乃至折衷の才を擅(ほしいまま)にした彼は...
戸坂潤 「辞典」
...是れ豈福澤翁をして獨り其の美を教育界に擅まにせしめざる儼然たる大事實に非ずや...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...伊藤侯は憲法立案者の名譽を獨擅し得可し...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...獨り我輩の怪む所は一百餘の代議士を有する大政黨が斯くの如き醜怪なる人物をして擅まに其黨規を紊亂せしめて憂へざること是れなり...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...無意識に(反省的でなくと云う意なり)享楽を擅(ほしいまま)にする間は...
夏目漱石 「文芸の哲学的基礎」
...間髪を容(い)れざる完全の一致より生ずる享楽を擅(ほしいま)まにする事ができんのであります...
夏目漱石 「文芸の哲学的基礎」
...之を明治の社会に応用致し候わば所謂(いわば)禍(わざわい)を未萌(みほう)に防ぐの功徳(くどく)にも相成り平素逸楽(いつらく)を擅(ほしいまま)に致し候(そろ)御恩返も相立ち可申(もうすべく)と存候(ぞんじそろ)……」何だか妙だなと首を捻(ひね)る...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...何といってもここは故人圓右の独擅場で...
正岡容 「我が圓朝研究」
...とにかく権太は菊五郎が一世に名を擅(ほしいまま)にせる色悪(いろあく)を代表すべきほどのものにて...
三木竹二 「いがみの権太」
...それに乗じて威福を擅(ほしいまま)にすると云うのが常である...
森鴎外 「雁」
...ですがこの友禅はその名を独り擅(ほしいまま)にするわけにゆかないのです...
柳宗悦 「民藝四十年」
...手のつけられない乱行を擅(ほしいまま)にした...
吉川英治 「剣難女難」
...その間に動く氣宇の爽大さはいよ/\背後の富士をしてその高さを擅ならしめてゐるのである...
若山牧水 「樹木とその葉」
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