...一人の水夫があって檣(ほばしら)の上から落日の大観を擅(ほしいま)まにし得た時...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...「まどき」が盛んに『読売』の投書欄を賑わして殆んど独擅場(どくせんじょう)の観があった頃...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...英訳本と対照するにやはり擅(ほしいまま)に原文を抜いたり変えたりした箇処は少しもなかった...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...露西亜(ロシア)の擅(ほしいまま)に人の国を侵略するということに付いて...
大隈重信 「東亜の平和を論ず」
...馬に跨って侵略を擅(ほしいまま)にする時にはほとんど猛火の原野を焼く如き勢いである...
大隈重信 「東亜の平和を論ず」
...(一九三六)23書物六題一 書物の私的擅有かつて...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...是れ豈福澤翁をして獨り其の美を教育界に擅まにせしめざる儼然たる大事實に非ずや...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...内務次官たる小松原氏が擅まに一派の政商と結托して職權を亂用したる罪案を決する能はず...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...伊藤侯は憲法立案者の名誉を独擅し得可し...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...独り我輩の怪む所は一百余の代議士を有する大政党が斯くの如き醜怪なる人物をして擅まに其党規を紊乱せしめて憂へざること是れなり...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...間髪を容(い)れざる完全の一致より生ずる享楽を擅(ほしいま)まにする事ができんのであります...
夏目漱石 「文芸の哲学的基礎」
...之を明治の社会に応用致し候わば所謂(いわば)禍(わざわい)を未萌(みほう)に防ぐの功徳(くどく)にも相成り平素逸楽(いつらく)を擅(ほしいまま)に致し候(そろ)御恩返も相立ち可申(もうすべく)と存候(ぞんじそろ)……」何だか妙だなと首を捻(ひね)る...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...彼が瘋癲院(ふうてんいん)中に盛名を擅(ほしい)ままにして天道の主宰をもって自(みずか)ら任ずるは恐らく事実であろう...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...しきりに暴威を擅(ほしいまま)にしている...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...暗黒から暗黒へと露地横町(ろじよこちょう)を縫ってその跳躍を擅(ほしいまま)にした...
牧逸馬 「女肉を料理する男」
...応挙(おうきょ)輩をして名を擅(ほしいまま)にせしめざりしものを...
正岡子規 「俳人蕪村」
...津軽信順(のぶゆき)の下(しも)で笠原近江(かさはらおうみ)が政(まつりごと)を擅(ほしいまま)にした時の事である...
森鴎外 「渋江抽斎」
...その間に動く氣宇の爽大さはいよ/\背後の富士をしてその高さを擅ならしめてゐるのである...
若山牧水 「樹木とその葉」
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