...一人の水夫があって檣(ほばしら)の上から落日の大観を擅(ほしいま)まにし得た時...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...物の饐(す)えた香と積肥(つみごえ)の香が擅(ほしいまま)にただよっていた...
有島武郎 「カインの末裔」
...歡樂を擅にする事ができるのだから...
泉鏡花 「お花見雜感」
...必らずしも哲学研究の擅場とするにも及ぶまい...
市島春城 「読書八境」
...「まどき」が盛んに『読売』の投書欄を賑わして殆んど独擅場(どくせんじょう)の観があった頃...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...英訳本と対照するにやはり擅(ほしいまま)に原文を抜いたり変えたりした箇処は少しもなかった...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...露西亜(ロシア)の擅(ほしいまま)に人の国を侵略するということに付いて...
大隈重信 「東亜の平和を論ず」
...独り之を擅にせんとの慾心を起して...
高木敏雄 「比較神話学」
...擅(ほしいまま)に威福を作(な)す...
田中貢太郎 「続黄梁」
...祖國の復興を祈つてやまぬ私はつい先頃菩提所大林寺に擅徒惣代として一知人の弔辭を讀み...
土井晩翠 「「晩翠放談」自序」
...是れ豈福澤翁をして獨り其の美を教育界に擅まにせしめざる儼然たる大事實に非ずや...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...伊藤侯は憲法立案者の名譽を獨擅し得可し...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...秋は雅人(がじん)の擅(ほしいまま)に散歩するに任(まか)す...
永井荷風 「日和下駄」
...之を明治の社会に応用致し候わば所謂(いわば)禍(わざわい)を未萌(みほう)に防ぐの功徳(くどく)にも相成り平素逸楽(いつらく)を擅(ほしいまま)に致し候(そろ)御恩返も相立ち可申(もうすべく)と存候(ぞんじそろ)……」何だか妙だなと首を捻(ひね)る...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...暗黒から暗黒へと露地横町(ろじよこちょう)を縫ってその跳躍を擅(ほしいまま)にした...
牧逸馬 「女肉を料理する男」
...応挙(おうきょ)輩をして名を擅(ほしいまま)にせしめざりしものを...
正岡子規 「俳人蕪村」
...それに乗じて威福を擅(ほしいまま)にすると云うのが常である...
森鴎外 「雁」
...新しい曙光は擅(ほしいまま)な美と享楽とに充ちた世界を照らし初めた...
和辻哲郎 「転向」
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