...又自分の生活の流れが開け、閉ぢ、撓み、繞り、進み行く姿を凝視して、俺の意識と意志とが後天的に之に參與する力の甚だ微弱な事を思ふ時、俺は何か神のやうなものに行逢ふ...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...折れにくい木はしなやかな小枝のように撓み伏し...
知里真志保 「アイヌ語のおもしろさ」
...細い撓みのある声で...
徳田秋聲 「草いきれ」
...上体も足もすらりと伸びて弾性をもって撓みました……...
豊島与志雄 「高尾ざんげ」
...凡てに撓み凡てを拒まないうち開けた無心さであった...
豊島与志雄 「掠奪せられたる男」
......
長塚節 「長塚節歌集 中」
...鏡のゆるやかな撓みが...
久生十蘭 「泡沫の記」
...この衝角はこれにとまる昆虫の重みにも撓み...
牧野信一 「卓上演説」
...茎は二尺内外に成長し頑丈でなく撓みやすく...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...その植物の繁多な枝が撓み抱え込んで円くなり...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...撓みなく記號を變化する...
三木清 「唯物史観と現代の意識」
...均整のとれた鋼鉄に似た枝枝の繁みが魁麗な花むらの重さを受けとめかねてゆったりと撓み...
横光利一 「旅愁」
...時雨降る野口の簗の小屋に籠り落ち来る鮎を待てばさびしきたそがれの小暗き闇に時雨降り簗にしらじら落つる鮎おほし簗の簀の古りてあやふしわがあたり鮎しらじらととび跳りつつかき撓み白う光りて流れ落つる浪より飛びて跳ぬる鮎これおほきなる鯉落ちたりとおらび寄る時雨降るなかの簗の篝火翌朝は三人に別れて雨の中を船津町へ向った...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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