...一(ある)夏土用の日盛(ひざかり)の事……生平(きびら)の揚羽蝶の漆紋に...
泉鏡花 「薄紅梅」
...一方紫の袖の紋の揚羽の蝶は...
泉鏡花 「唄立山心中一曲」
...黄色い地に沢山の揚羽の蝶が散らし模様になっていましたよ」私は覚えていた...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...大きい黒揚羽(くろあげは)の蝶が...
太宰治 「火の鳥」
...羽の黒い大きな揚羽(あげは)の蝶(ちょう)がひらひらと広栄の眼の前を流れて往った...
田中貢太郎 「春心」
...あそこに揚羽ちょうが舞っています...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...──揚羽ちょうの一生をごぞんじでしょう...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...揚羽の蝶だから私は...
中里介山 「大菩薩峠」
...揚羽でございましたよ...
中里介山 「大菩薩峠」
...天鵞絨(ビロード)の艶を帯びた大黒揚羽蝶が...
中島敦 「光と風と夢」
...「俺は知るものか、戀の病ひと血の道は、患(わづら)つた覺えはないよ」「錢形の親分が暗いのはその道ばかり――世間ではさう言つてゐますよ」「餘計な心配だ」「何しろ金澤町の居廻りは、薄寒いのに夕凉(ゆふすゞ)みの人通りで大變な賑ひだ」「それは何んの禁呪(まじなひ)だ」「何んかの彈(はず)みで、揚羽のお艶が、門口へ顏を出さないものでもあるまいといふ、心細い望みなんださうで」「厄介だな」「町内の湯屋は大變で、お艶が來る日を心得てゐて、その日の男湯は芋(いも)を洗ふほどの騷ぎで、それに羽目も壁も穴だらけにされて、櫻湯の親爺は大こぼしですよ」「――」平次は默り込んでしまひました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...この市井(しせゐ)の一些事(さじ)らしい『揚羽(あげは)のお艶』の噂が...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...何時の間にそれが脱皮して毛虫から揚羽の蝶になつたか...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...並大抵の蝶々じゃありませんよ」「蝶々にも並出来と別誂(べつあつら)えとあるのか」「揚羽(あげは)のお艶(えん)というんだから...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...座敷を大きな揚羽蝶(あげはちょう)が舞いぬけてゆく...
長谷川時雨 「流れた唾き」
...蓋の裏に列記せられたる女王の名は「花せゝり」「黄まだら」「日陰蝶」「蛇の目」「豹文」「緋威」「黄べり立て羽」「揚羽」「一文字」「山黄蝶」「日光白蝶」「大紫」「山女郎」などで...
正岡子規 「蝶」
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三好達治 「南窗集」
...揚羽蝶(あげはのちょう)の漆(うるし)の紋がはげ落ちた衣裳つづらが荷駄の背に二つばかり...
吉川英治 「江戸三国志」
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