...戯れながらその味を吸ひ取りその美を掬い上げることの出来る芸術家のこゝろがある...
阿部次郎 「帰来」
...一河の水を掬すも他生の縁...
大町桂月 「金華山」
...世にすてられしかなしさは誰(たれ)ありて一掬(ひとすくひ)の水だに手向(たむく)る人なし...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...『歸依(きえ)』の掬(く)むなる常若(とこわか)の生命(いのち)湛(ただ)ひぬ...
薄田淳介 「白羊宮」
...波々(なみなみ)と掬(く)んだところで...
薄田泣菫 「侘助椿」
...湯を掌で掬つてはこぼし掬つてはこぼししながら...
太宰治 「思ひ出」
...弓弭(ゆはづ)の清水(しみづ)を掬(むす)んで...
徳冨蘆花 「熊の足跡」
...土を掬い上げ、小柄で掘り――二つの手を、土まみれにして、五六寸の深さに、掘った...
直木三十五 「南国太平記」
...田口掬汀の某作等ありしと記憶す...
永井荷風 「書かでもの記」
...牛(うし)が淵(ふち)へおたまじゃくしを掬(すく)いにゆけたり...
長谷川時雨 「西洋の唐茄子」
...牛が淵でおたまじゃくしを掬(すく)った...
長谷川時雨 「流れた唾き」
...手で掬おうとすると...
久生十蘭 「南極記」
...谷の清水を手で掬つて飮んでゐたら...
正宗白鳥 「新婚旅行」
...千葉掬香がイプセンの所謂散文劇の五六篇を譯して警醒社から出し...
宮原晃一郎 「イプセンの日本語譯」
...これを十人のお客が自由に掬(すく)い取って召上るのですが十人前で十八銭位かかります」小山「それで一円七十三銭ですからまだ二十七銭余ります...
村井弦斎 「食道楽」
...妙に物を掬(すく)うような恰好をして...
室生犀星 「性に眼覚める頃」
...滾々(こんこん)とあふれる神泉をもう一柄杓(ひとひしゃく)掬(すく)って...
吉川英治 「新書太閤記」
...水を掬いに戻りかけた...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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