...」婆々(ばば)は掌(て)を挙げて白髪の額に頂き...
泉鏡花 「伊勢之巻」
...ドン助の手に素早(すばや)く握(にぎ)らせた紙幣――掌(てのひら)をあけると...
海野十三 「○○獣」
...農夫(ひやくしやう)は両手の掌面(てのひら)に填(は)めてゐた顔を怠儀さうにあげた...
薄田泣菫 「茶話」
...そうして右の掌だけ半分ほど胸の処から覗(のぞか)して...
近松秋江 「別れたる妻に送る手紙」
...なんと思い違えたものか車掌がいきなり「どちらが勝ちましたか」と聞くのであった...
寺田寅彦 「野球時代」
...吉之助は、掌を顔へ当てた...
直木三十五 「南国太平記」
...しかし先生の俗務の鞅掌は決してその詩に禍をしなかつたのみならず却つてそれが先生の詩を内容的に深めてゐる...
中村憲吉 「頼杏坪先生」
...合掌(がっしょう)したり両手の指を組む時は極端が相合う...
新渡戸稲造 「東西相触れて」
...あの娘の掌に灰が附いて居さへすれば...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...掌の雀の羽根は素直に波を打つた...
林芙美子 「瀑布」
...仁王様の掌が、恰度僕の胸先まで伸びてゐる、九時半だな...
牧野信一 「ダニューヴの花嫁」
...カムパネルラは、そのきれいな砂を一〔つ〕まみ、掌にひろげ、指できしきしさせながら、夢のやうに云ってゐるのでした...
宮沢賢治 「銀河鉄道の夜」
...愁ひ来て丘にのぼりて酸(す)の香る蜜柑もぐなり悲しみの青き蜜柑を栗林こえて見ゆるは背きにし君の町なるぞゆふぐれに深く沈みて掌(て)にしみる青き蜜柑よそをかみて何を思はむ昔(かみ)の日は皆空しきにああされど君も寂しとこの丘の青き蜜柑のその香りなぜか愛でたり自らの影をふみつつゆふぐれの丘を下りき掌に悲し青き蜜柑よ...
森川義信 「青き蜜柑」
...堀切前市長管掌はその原因を「選挙民の無自覚」に帰している...
夢野久作 「街頭から見た新東京の裏面」
...彼の掌はいきなり叩頭している安次の片頬をぴしゃりと打った...
横光利一 「南北」
...」と肘ついた掌の上へ頬をぐったりと落して呟いた...
横光利一 「旅愁」
...掌(て)を合わせていた...
吉川英治 「新書太閤記」
...「この掌(て)に...
吉川英治 「新書太閤記」
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