...庭の程よい処(ところ)に望遠鏡を据ゑつけてゐた...
犬養健 「朧夜」
...即ちこれを詩章の竜葢帳(りようがいちよう)中に据ゑて...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...亡くなつた男がその後釜(あとがま)に据(すわ)つてゐたのを雄弁家がつい早飲込みにその男だと穿違(はきちが)へて了(しま)つたのだ...
薄田泣菫 「茶話」
...紋羽二重(もんはぶたえ)の被布(ひふ)を着て厚い座布団の上に据(す)わり浅黄鼠(あさぎねず)の縮緬(ちりめん)の頭巾(ずきん)で鼻の一部が見える程度に首を包み頭巾の端が眼瞼(まぶた)の上へまで垂(た)れ下るようにし頬(ほお)や口なども隠(かく)れるようにしてあった...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...ここに御輿(みこし)を据えようかと考えていたが...
徳田秋声 「挿話」
...その玄関の式台に置据えられた三宝の上の錦のふくさと覚しいのを払った献上物というやつの現物を一眼見て...
中里介山 「大菩薩峠」
...吾(わ)が庭の眺(なが)めにと橄欖(かんらん)の香(か)の濃く吹くあたりに据(す)えたそうです」「それは御話? 突然なのね」「それから或(ある)日テニスをしていたら……」「あら...
夏目漱石 「野分」
...おれは前に云う通りあまり度胸の据(すわ)った男ではないのだが...
夏目漱石 「坊っちゃん」
...囲い者などの家へ夜中御輿(みこし)を据える親分ではなかったはずです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...エリーゼの楽譜に眼を据ゑると...
原民喜 「永遠のみどり」
...祖父は膳を片づけさせて地球儀を膝の前に据えた...
牧野信一 「地球儀」
...大八車で運ばれてきた据え風呂桶の化け物みたいなこの一斗桝を見て...
正岡容 「圓太郎馬車」
...はじめのように見据えたようなところがもうちっともなくなってしまったのでもわかる……もちろん...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「小フリイデマン氏」
...大原はいつまでも腰を据えられたし...
村井弦斎 「食道楽」
...その様子が火鉢から離れて据わらせたら...
森鴎外 「雁」
...自分の前へ酒肴の膳が据えられたのも...
山本周五郎 「新潮記」
...黒い大きな瞳をジイッと据えて微笑された相手の青年は...
夢野久作 「女坑主」
...鷺脚(さぎあし)の榻(とう)を据え...
吉川英治 「親鸞」
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