...反(かえ)って不思議にも胆力(たんりょく)が据(すわ)ってきた...
海野十三 「空襲葬送曲」
...もう一度居据り直したらば...
江見水蔭 「備前天一坊」
...大きな巌が据ったように思われだした...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...此日は座敷に膳を据ゑてチャンとお客樣になつて款待された...
高濱虚子 「俳諧師」
...そこで広い牀(とこ)の上に小さな几を据えて二人がさし向いで酒もりをした...
田中貢太郎 「竹青」
...三脚を据(す)えて...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...看相を業とする老人が机を据えており...
豊島与志雄 「北支点描」
...乱れた悲しい目つきを暗夜のうちに据え...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...此時來客との應接を辭して室(しつ)の片隅に据ゑられたピヤノの上からヴイオロンを取上げた...
永井荷風 「新歸朝者日記」
...友達が手酌(てじゃく)の一杯を口のはたに持って行きながら、雪の日や飲まぬお方のふところ手と言って、わたくしの顔を見たので、わたくしも、酒飲まぬ人は案山子(かかし)の雪見哉(かな)と返して、その時銚子のかわりを持って来たおかみさんに舟のことをきくと、渡しはもうありませんが、蒸汽は七時まで御在ますと言うのに、やや腰を据え、舟なくば雪見がへりのころぶまで舟足を借りておちつく雪見かなその頃、何や彼(か)や書きつけて置いた手帳は、その後いろいろな反古(ほご)と共に、一たばねにして大川へ流してしまったので、今になっては雪が降っても、その夜のことは、唯人情のゆるやかであった時代と共に、早く世を去った友達の面影がぼんやり記憶に浮んで来るばかりである...
永井荷風 「雪の日」
...大釜(おおがま)が据(す)えてあってそれでお粥(かゆ)を煮ています...
中里介山 「大菩薩峠」
...囃方(はやしかた)の陣取つた中二階の下あたりに据ゑてあります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...毎夜十二時まで俺を書机(しょき)の前にひき据え...
久生十蘭 「湖畔」
...手摩に攫(つか)まって据わりしなに...
森鴎外 「雁」
...女中の据えた黒塗の膳の向うに...
森鴎外 「雁」
...戸川と富田との間の処に据わった...
森鴎外 「独身」
...やがてじっと羽を据えていたが突然ブルダンの蒼ざめた唇めがけてまっすぐに飛んで行った...
モーリス・ルヴェル Maurice Level 田中早苗訳 「青蠅」
...野の中央所に砲を据えて...
若山牧水 「みなかみ紀行」
便利!手書き漢字入力検索