...拭くものを持つて來や……』さうした窕子の聲がともすればその一室の中からきこえて來た...
田山花袋 「道綱の母」
...」お増は台所で体を拭くと...
徳田秋声 「爛」
...眼を拭く手巾(ハンケチ)の色が白く見えた...
夏目漱石 「夢十夜」
...言いおわってそっと額(ひたい)の汗を拭くのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...誰かが若樣を害(あや)めたのではあるまいか――と」山岸作内は額の脂汗を拭くのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...懷紙を出して強く拭くと...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...卓子(テーブル)を拭き、椅子の脚を拭く...
林芙美子 「新版 放浪記」
...棚なぞ拭くのでありましたが...
林芙美子 「小さい花」
...ようすよく眼を拭くと...
久生十蘭 「あなたも私も」
...口を洗ひ、顔を拭く...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...拭く間ももどかしくお久美さんを引きずる様にして障子の中に入れると...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...私が何だか苦しそうに汗ばかり拭くので...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...小僧どもが鼻を拭くのだ...
三好十郎 「恐怖の季節」
...水を見つけた炎の兵は、われがちに駈け寄って流れを吸(す)う、汗を拭く、また血を洗う...
吉川英治 「私本太平記」
...範宴少納言(はんえんしょうなごん)は、暗いうちに起きて、他の僧たちといっしょに、氷のような廻廊を、水で拭く、庭を掃く、水を汲む...
吉川英治 「親鸞」
...手の甲で額(ひたい)を拭く...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...そら涙を拭くまねをして...
吉川英治 「源頼朝」
...真日中の日蔭とぼしき道ばたに流れ澄みたる井手のせせらぎ道ばたに埃かむりてほの白く咲く野いばらの香こそ匂へれ桑の実のしたたるつゆに染まりたる指さきを拭くその広き葉に埃たつ野なかの道をゆきゆきて聞くはさびしき頬白の鳥腰から下をほの白く土埃に染めながら...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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