...加藤は新しい手巾(ハンカチ)で手を拭き乍ら坐り直した...
石川啄木 「鳥影」
...しまいにははらはらと崩れて折角拭いた頬の上に再び光の糸を曳(ひ)きながら流れて行きます...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...手拭を顔にかけて...
田山花袋 「朝」
...手拭を使っていた...
直木三十五 「南国太平記」
...その時、先生は、いつもの先生とは違って、すさまじい権幕をして、「どこへ行った、どこへ行った」と言って、衣裳棚の前で、てんてこ舞をしている先生の片手には、手拭かと思うと、そうではない、晒の切れを引きずっているが、その晒の切れは、ところどころ血の滲(にじ)んだ細い切れであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...雑巾を取上げて着物を拭(ふ)いてやる...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...「拭かなきやアよかつたなア」平次は窓のあたりを覗いて居りましたが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...そのときお新は涙を拭いて...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...懐ろから手拭を取出すと...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...手拭がほどけて、生き還(かへ)つて騷がれちや大變ですからね」「そんなことがあるかも知れない...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...一日以内に小切手を送ります」イズミ・レガードが涙を拭いた...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「ギルレイ」
...「背負ってるのはおっかあでね」と平二郎は云った、「ああやって背負っていって、着物をぬがして、躯をすっかり洗ってやって、きれいに拭いて、それから着物を着せて、うちまで背負ってけえるだよ」私が質問すると、平二郎は大きな眼をそろそろとすぼめ、ふしぎなことを訊く人間がいるものだ、とでも云いたげな顔つきで私を見た...
山本周五郎 「青べか物語」
...彼は手の甲で眼を拭いた...
山本周五郎 「季節のない街」
...「なんですって」「こういうわけなんだ」主殿は汗を拭きながら語った...
山本周五郎 「末っ子」
...心ぼそくってしようがなかったんだ」「よくわかってよお祖父さん」おせんはそこにあった手拭で源六の濡れた手を拭いてやった...
山本周五郎 「柳橋物語」
...水つぽい眼を拭いたが...
ジャック・ロンドン Jack London 山本政喜訳 「荒野の呼び声」
...新しいハンカチで額の汗を拭き拭き八時三十分発急行列車富士号の方へヨチヨチと歩いて行くのを見送ると...
夢野久作 「人間レコード」
...この袁術に拭うべからざる恥辱をも与えた」即座に...
吉川英治 「三国志」
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