...倉地は決心したように力任せにあらがう葉子を抱きすくめて...
有島武郎 「或る女」
...その濃緑の帷(とばり)からは何処ともなく甘い香りと蜂の羽音とがあふれ出てひそやかな風に揺られながら私を抱き包んだ...
有島武郎 「フランセスの顔」
...君と抱き合って死んで行く方が...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...ベッドの中で抱き合っていると...
江戸川乱歩 「断崖」
...恐れを抱き部屋を出てしまい...
小泉八雲 Lafcadio Hearn 戸川明三訳 「葬られたる秘密」
...わたくしがそんな目にあってるのを見ると、倅(せがれ)はいきなり飛びかかって来て、『父ちゃん! 父ちゃん!』とわめくんでしてね! そしてわたくしをつかまえて、抱きしめながら、一生懸命に引き放そうとして、敵に向かって、『放してください、放してよ、これは僕の父ちゃんなんだから、ねえ、僕の父ちゃんなんだから、堪忍してやってちょうだいよ!』全くそう言ってどなるじゃありませんか、『堪忍してやってちょうだい』とわめいたのです...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...猫を抱きとりました...
豊島与志雄 「金の目銀の目」
...芳子は寝ながら、堯を抱き取った...
豊島与志雄 「生と死との記録」
...南さんを抱きかかえたまま...
豊島与志雄 「南さんの恋人」
...幾人かして抱きかかえて連れ出そうとするのを...
中里介山 「大菩薩峠」
...溺(おぼ)れている子供を抱き上げ無事に救って上りました...
中里介山 「大菩薩峠」
...柔かな綿入の服を取り上げて、ふいに抱きしめ、頬ずりしました...
フランセス・ホッヂソン・バァネット Frances Hodgeson Burnett 菊池寛訳 「小公女」
...同女が嬰児(えいじ)を懐(ふところ)に抱きて愛撫(あいぶ)一方(ひとかた)ならざる有様を目撃するにつけても...
福田英子 「母となる」
...私は泣いて妹に抱きついたが...
松永延造 「職工と微笑」
...今はただ一人の男のとり合いをやめて和睦した二人の女が抱き合ったのではない...
宮本百合子 「「インガ」」
...泣いて迫りながら「まだあなたは私を愛している?」と言って伸子に抱きつく所がある...
三好十郎 「恐怖の季節」
...抱きかかえるようにして蒲団に寝かせてやる...
山川方夫 「愛のごとく」
...巨(おお)きな幹へ抱きついたと思うと...
吉川英治 「宮本武蔵」
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