...げらげら笑いの事務長を横にして抱えると機関室をでてどんどん走りだした...
海野十三 「怪星ガン」
...自分の頭を抱えるようにしたことまで覚えています...
海野十三 「火星兵団」
...病人を抱えるようにして...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...堯を後から抱えるようにして歩かして出迎えるのが普通だった...
豊島与志雄 「生と死との記録」
...「お雪さん」それを、ぼんやり見ながら浅吉が言葉をかけたものですから、お雪は本をさがしながら、「はい」「あの、お雪さん、済みませんが、油を持っておいででしたら、少し分けて下さいませんか……頭へつける油を」「油ですか、ええあります、あります、油なら上等のがありますよ」「切らしてしまったものですからね、どうぞ、少しばかり」「油なら上等の椿油がありますよ」「椿油ですか」「ええ」「それは結構ですね」「それも本物の大島の椿油なんですよ、伊豆の伊東の人からいただいたのがありましたから、それを持って参りました、まだたくさんあります」「そうですか、大島の椿油なら本物です、ずいぶん、椿油といってもイカサマものがありますからね」「それにね、髪へつけるばかりじゃありません、刀の油とぎをするのに、椿油がいちばんいいんですってね」「そうですか……刀には丁子(ちょうじ)の油がいいと聞きましたが、椿油でもいいのですか」「椿の方がいいんですとさ」といいながら、お雪は戸棚の隅から油壺に入れた椿の油を取り出して、浅吉の前に置き、「たくさんお使いなさいまし」「有難うございます」お雪は再び書物の数を読んで、都合六冊ばかりの本を取揃えると、「では、わたし、ちょっと下へ行って参りますから、一人でお待ちなすって下さい」「お雪ちゃん」お雪が立って下へ行こうとする袖を、引き留めるようにして浅吉が、「お雪ちゃん、もう少しここにいて下さいな」「でも、わたし、よい歌の先生が見つかりましたものですから、教えていただきたいと思います」「それにしても、私は一人じゃ淋しいから、少しの間ここにいて下さいな」「いいえ、うちの先生もそのうちに帰るでしょうから」「お雪ちゃん……後生(ごしょう)ですから」浅吉は拝むようにいいましたけれども、お雪は笑って取合わず、「浅吉さん、弱い人ね、もう少し強くならないと、鼠に引かれちまいますよ」お雪は、新しい知識のあこがれがいっぱいで、本を抱えると、欣々(いそいそ)として下へおりて行きました...
中里介山 「大菩薩峠」
...抱えるようにして上手に退場する...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
...腹を抱えるのであつた...
牧野信一 「小川の流れ」
...」そうして壺を抱えると...
松永延造 「職工と微笑」
...」お松は娘の躯(からだ)を抱えるように曳きずって行った...
矢田津世子 「反逆」
...伍長は女を抱えるようにし...
山川方夫 「その一年」
...肩から落ちる石を抱えるようなかたちで...
山本周五郎 「さぶ」
...伊達忠宗が蝙也を召抱えるおりに...
山本周五郎 「松林蝙也」
...目ざす妓を抱えるやら...
吉川英治 「私本太平記」
...味方に召抱えることは策として分るが...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
...「身仕度を抱えるわけではなし...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
...膝を抱えるのもある...
吉川英治 「宮本武蔵」
...腹を抱えるように哄笑した者がある...
吉川英治 「宮本武蔵」
...彼はその少女を懐(なつかし)げに抱えると...
蘭郁二郎 「蝕眠譜」
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