...やはり辛抱(しんばう)専一に苦労する外はあるまいと思ふ...
芥川龍之介 「雑筆」
...遺憾! 自分は一個の敗北者であるといふ感じを抱かざるを得ない...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...僮(ボオイ)は両手でボウル箱を抱へ込んで...
薄田泣菫 「茶話」
...僕はもうそろそろいい加減な気持を抱きはじめているのではなかろうか...
太宰治 「パンドラの匣」
...頬ずりをしながら抱き締めた瞬間に...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...好いかえ?」かう言つてかれは女を抱きしめた...
田山録弥 「浴室」
...先刻彼がかき抱いた彼女と...
豊島与志雄 「白蛾」
...折々稽古本抱えて闖入し来り...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...睡(ねふ)りがたき秋(あき)の夜(よ)は胸(むね)に抱(いだ)いてまぼろしの面影(おもかげ)をも見(み)んと...
一葉女史 「ゆく雲」
...十年前私は半ば狂氣(きちがひ)のやうに嫌惡と憎惡と怒りを抱いてヨーロッパを駈けめぐつたのです...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...私は千代子の体を抱き締めはしないかしら...
牧野信一 「砂浜」
...と、自分にいいきかせているように、何度かためらったが、やっとのことで、抱き上げて、膝の上に、ぐたりともたれかかる、仰向きの美女の、鳩尾(みぞおち)に、荒くれた太い指を、ソッと当てたようだった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...こうしたつれづれな生活に何年も辛抱(しんぼう)することができるであろうかと源氏はみずから危(あやぶ)んだ...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...私には恩樹がその子どもを得意そうに抱いたり...
室生犀星 「童子」
...千久馬だけは辛抱づよく訪ねて来た...
山本周五郎 「はたし状」
...幇間が五重の塔の擬宝珠を嘗める「六升」(緑青)という得意の持話に満座腹を抱える...
山本笑月 「明治世相百話」
...五蟹(かに)が岩へ抱きついたように...
吉川英治 「宮本武蔵」
...この三幅に対して右のような感じを抱かない人もあるではあろうが...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??