...抜目のない顔立である...
石川啄木 「足跡」
...彼が日本人に信ぜられたるその信用(しんよう)を利用して利を謀(はか)るに抜目(ぬけめ)なかりしは凡(およ)そこの類(たぐい)なり...
石河幹明 「瘠我慢の説」
...喜兵衛は狂歌の才をも商売に利用するに抜目(ぬけめ)がなかった...
内田魯庵 「淡島椿岳」
...丈五郎の方でも抜目なく...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...女の抜目のない利用法にかかったら...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...宣伝にも抜目はなかったのであろうが...
長谷川時雨 「神田附木店」
...抜目のない代表みたいなもんだと...
久生十蘭 「あなたも私も」
...れいの年忌のことまで抜目なくちゃんと吹きこんでしまったみたいで...
久生十蘭 「猪鹿蝶」
...靴直しの夫婦の抜目のない監視の眼に見張られ...
久生十蘭 「カストリ侯実録」
...いつかは公道を通らずにはすまぬ抜目のない設計になっているので...
久生十蘭 「新西遊記」
...抜目のなさそうな面がまえの男が十二人...
久生十蘭 「春の山」
...盛り場に抜目なく入り込ませ...
久生十蘭 「平賀源内捕物帳」
...責任は一切もたないという抜目のないやり方らしく思われる...
久生十蘭 「フランス伯N・B」
...抜目なく出所進退を明らかにしておきましたの...
久生十蘭 「魔都」
...「しかし、わしは、よいところに通り合わせたと思っておる――」と、老人は、刺すような調子で、「敵を仆(たお)すには、その根幹を切らねばならぬ――ああした場所では、とても大物を仕止められようとは思われぬでな――いたずらに、こだわって、大立者を逃すようなことはせぬものだ――雪、そなたは、折角、松枝町に近づいたであろうに――」「えッ」と、雪之丞は、おどろかされて、「三斎と知り合いましたを、どうして御存知でいられます?」「わしの八卦(はっけ)、観相は、天地を見とおす――と、言いたいが、実はな、この老人も、中村座の初日が、気になって、のぞきにまいった――すると、あの一行の幕張りがあって、大分、そなたに執心(しゅうしん)しているように見えたゆえ――」老人は、いくらか微笑して言って、「いま俄(にわ)かに、そなたが動き出したら、抜目のない三斎、何となく危さを感じて、他国者なぞ、身近く寄せるようなことはせなくなるぞ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...」Oが抜目なく言った...
室生犀星 「或る少女の死まで」
...抜目なく機嫌を取ろう機嫌を取ろうとする素振りを見せ始めたのであった...
夢野久作 「斜坑」
...万事抜目なく心得てからにするのだよ...
モウリス・ルブラン 新青年編輯局訳 「水晶の栓」
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