...折悪しく吹き捲(ま)くって来た一陣の烈風に...
押川春浪補 「本州横断 痛快徒歩旅行」
...折悪しく急に風がかわって...
海野十三 「雪魔」
...折悪しく暮方になりました...
海野十三 「太平洋雷撃戦隊」
...折悪しく帆村名探偵の海外出張中なのを慨(なげ)いていた...
海野十三 「地中魔」
...折悪しくそこに侍女や侍僕の姿の見えないのに安心して...
橘外男 「ナリン殿下への回想」
...折悪しく滝川教授は放蕩もして呉れなければ喧嘩もしない...
戸坂潤 「社会時評」
...母上は折悪しく下女が日中(ひる)風邪の気味で弱つて居た事を知つて居られたので...
永井荷風 「一月一日」
...折悪しく、利助は持病で昨夜から枕も上がらぬ有様(ありさま)...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...折悪しく私の列車は...
林芙美子 「シベリヤの三等列車」
...何しろこんな際に折悪しくこんな事件が起ったもんで...
久生十蘭 「魔都」
...彼はひよつと誰か信心深い貴族でも来あはせて一杯振舞つて呉れるまで、じつと酒場で待つてゐようかとも思つたが、折悪しく、申しあはせたやうに貴族といふ貴族がみんな我が家に居残つて、堅気な基督教徒らしく、てんでの家族といつしよに蜜飯(クチャ)を食つてゐた訳だ...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...その明治座の時には折悪しく出勤してゐなかつたし...
松本幸四郎 「大森彦七と名和長年」
...折悪しく革命戦争のため契約がふいになったので...
三浦環 「お蝶夫人」
...折悪しくその第七番目の鰐口(わにぐち)に刺さっていた鉄棒(ピン)が...
夢野久作 「斜坑」
...折悪しく、その時に限って、こんがらとせいたかも居合せなかったので、どう極りをつけてよいか全く当惑していた...
吉川英治 「剣難女難」
...その云い分によると、「折悪しく、城主長治は、風邪(かぜ)ぎみのため、招状あるやすぐ、叔父の賀相(よしすけ)、老臣の三宅治忠(みやけはるただ)を名代(みょうだい)として、加古川城へつかわし、いろいろ献策したところ、秀吉は、われわれ土着の城主の意見など耳に入れようともせず――卿(けい)らの任は、槍先の働きである...
吉川英治 「新書太閤記」
...……折悪しく、ちょうど宅に来客がありましてな」「ああやっとお見えか...
吉川英治 「新・水滸伝」
...またたくうちに、彼の駒は、三宅坂の松平信明(まつだいらのぶあき)の屋敷を訪れたが、折悪しく、信明はその前夜、代々木の別業(しもやしき)へ移って静養中ということなので、すぐ引っ返して、そこからほど近い麹町の方へ馬を飛ばした...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
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