...彷彿(ほうふつ)と見えそうな気がしたからです...
芥川龍之介 「妖婆」
...本篇はただ僅(わず)かに故人の一生の輪廓を彷彿(ほうふつ)せしむるためのデッサンたるに過ぎないのである...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...神は人間の手足を備うる肉体的存在なりと主張するヴォドアの意見を彷彿たらしむるものなりと信ず...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...水天彷彿たる琉球臺灣の彼方よりは...
竹越三叉 「世界の日本乎、亞細亞の日本乎」
...「君はエドガー・アラン・ポオのデュパンを彷彿とさせるね...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「緋のエチュード」
...あの狸の穴に彷彿したM君との別荘へあてゝ...
徳田秋聲 「芭蕉と歯朶」
...之に反して絶対真理の否定者は道徳的真理を常に眼前に彷彿していると思われる...
戸坂潤 「科学方法論」
...それを読むと氏の気魄彷彿とするものがある...
戸坂潤 「社会時評」
...その時代の空気を彷彿(ほうふつ)させるような作品であれば...
直木三十五 「大衆文芸作法」
...資生堂に入りてオードコロンの類を購わば其の壜其の口金等米国の製品に彷彿たるものあるを見るべし...
永井荷風 「偏奇館漫録」
...併し漸く自分は此の大なる自然は口徑二吋に足らぬレンズを以てして到底其の千百萬分の一をも彷彿せしめることの出來ないことを悟つた...
長塚節 「教師」
...楽劇「薔薇(ばら)の騎士(きし)」の全曲ではないが全曲を彷彿(ほうふつ)させる大物がビクターに入っている...
野村胡堂 「楽聖物語」
...世にも不思議な姿を彷彿させることができたでしょう...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...なみ風のありもあらずも何かせん一葉(ひとは)のふねのうきよなりけりと感慨無量であった面影が彷彿(ほうふつ)と浮かんでくる...
長谷川時雨 「樋口一葉」
...ただし現在何十もあるヒガンバナの諸国方言中にイチシに彷彿たる名が見つからぬのが残念である...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...その人物を彷彿する事が出來ないのであらう――も...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...今日の日本を彷彿させるものがある」と当時の事情にふれている...
宮本百合子 「明日の知性」
...又何ぞ画師の如く遇せらるゝを喜ばんや、即ち二絶句を作りて其布に大書し之を返せり、其一に曰く曾謝横レ経弄レ翰儒、寧能余技備二観娯一、胸中書本猶堪レ献、彷彿鳳七月国、顴高く眉蹙(ちゞ)まれる老人は其眼を光らせて筆を揮(ふる)へり...
山路愛山 「頼襄を論ず」
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