...折よく出会うことが出来たとしても...
モオパッサン 秋田滋訳 「親ごころ」
...庭には折よく槐(ゑんじゆ)の木が二枝ばかり咲いてゐる...
薄田泣菫 「独楽園」
...……夕方、ふたゝびTさんを訪問、折よく逢へて、お互にのんべいだから気軽く酔うて、ぐつたり寝入つた...
種田山頭火 「道中記」
...終つて折よく立つて居た高知名物の市(いち)を見ながら公園に向ふ...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
...君江は折よく電話室に近いテーブルのお客と飲んでいたので...
永井荷風 「つゆのあとさき」
...折よく変な男が出て来て助けてくれましたから...
中里介山 「大菩薩峠」
...折よく典竜老師が臥竜梅(がりゅうばい)の下で箒(ほうき)を使っていたのを見かけました...
中里介山 「大菩薩峠」
...折よく下女が来て湯沸(ゆわかし)と共に膳椀を引いて行く...
夏目漱石 「虞美人草」
...折よくサン・セバスティアンに来たのは...
野上豊一郎 「闘牛」
...折よくも彼女は彗星(すいせい)のようにわたしたちの目の前に現われた...
長谷川時雨 「一世お鯉」
...『あすこへ、ちょうど折よく、警察署長が来てくれなかったものなら、おれはあのまま二度とお天道さまも拝めなくなってしまっていたかも知れないぞ! まるで水の上のあぶくのように跡形もなく消えうせてしまって、おれは子孫も残さねば、未来の子供のために、財産も、歴乎とした名前も残してやることが出来なかったに違いない!』我等の主人公は、ひどく自分の子孫のことを気にかけていた...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...折よくも私達の大会は日を余すこと僅日...
牧野信一 「〔編輯余話〕」
...「どうぞすこし横におなりあそばせ」そのとき折よく...
山本周五郎 「新潮記」
...折よく故郷から送って来た鶏卵素麺(けいらんそうめん)に「今度の庚戌会へは是非とも出席します」と言う意味の手紙を添えて...
夢野久作 「少女地獄」
...折よくもあり折悪(あ)しくもありました...
吉川英治 「江戸三国志」
...今は折よく、日本橋の袂で、重左自身が彼の姿を見つけたのであったが、場所がら人目も多いので、しばらく手を引いている間に、思いがけない鳶(とんび)に油揚(あぶらげ)をさらわれた形となったのだった...
吉川英治 「剣難女難」
...折よく、彼方(かなた)から二、三名の漁師(りょうし)の姿が見えたので、親鸞は、それへ声をかけたのである...
吉川英治 「親鸞」
...時計も折よく十二時にほどなかった...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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