...人の世の春のかかる折から...
泉鏡花 「婦系図」
...折から夕日を浴びて眞白に雪を輝かしてゐる...
今井邦子 「伊那紀行」
...折から紅葉(もみじ)して...
巌谷小波 「こがね丸」
...折から日比谷の原の端(はず)れに客待ちしていた俥(くるま)を呼留め...
内田魯庵 「四十年前」
...折から閣員の一人隈山子爵が海外から帰朝してこの猿芝居的欧化政策に同感すると思いの外慨然として靖献遺言的の建白をし...
内田魯庵 「四十年前」
...折から雲間をもれた月光(つきあかり)にすかして見ると...
モーリス・ルヴェル Maurice Level 田中早苗訳 「乞食」
...折から事あれかしと待ちかまえていたところだったので...
谷譲次 「踊る地平線」
...折から朝日が刺青の面(おもて)にさして...
谷崎潤一郎 「刺青」
...……」折から烈(はげ)しき戸鈴(ベル)の響がして何者か門口(かどぐち)をあける...
夏目漱石 「一夜」
...折から惡るき我が門前にての出來ごとなれば...
一葉 「暗夜」
...折から、佐原山の松林の蔭に没しはじめた夕陽が、赤い光をま横からさしかけ、つっ立っている彦太郎の姿は、燦然(さんぜん)と光り輝いた...
火野葦平 「糞尿譚」
...吏員達の間にも「あの豪快な日本学生」といふ特徴を知られてゐて殊の他その姓名が謳はれてゐた折からでしたので臨時吏員生活も仲々羽振りが好く...
牧野信一 「私の万年筆」
...」村人は翌日、枯草の山を野の四方に積み立て、折から、やや烈しい追風のあるのを見て、皆こぞって火を放つ用意をした...
室生犀星 「野に臥す者」
...折から向うの木立ちを離れた太陽の光りに...
夢野久作 「継子」
...折から祭日で、山へは里の男女が大勢参詣にのぼって来ているところなので、そんな風聞だけでも穏やかでないという風に、「では、お疲れをお休めになって、暫時(ざんじ)ここでおくつろぎ下さいますように」と、蒼惶(そうこう)として奥へはいり、社家の雑掌(ざっしょう)や舎人(とねり)を集めて、何か鳩首して相談をこらしているらしく思われる...
吉川英治 「江戸三国志」
...折から秋も更(ふ)けた頃だったので...
吉川英治 「新書太閤記」
...その折から、笙歌(しょうか)に耳を傾けていた殿上殿下の人々は、驚いて彼を、殿庭の外へ、引ずり出そうとしたために、文覚は数名の者を殺傷したというのである...
吉川英治 「源頼朝」
...折から、この但馬守の屋敷には、お通という一女性も居合わせた...
吉川英治 「宮本武蔵」
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