...折々白い霧は麓から巻き上げてきて...
大下藤次郎 「白峰の麓」
...雑誌に寄稿されたその折々の紀行は死後にまとめられてそれぞれ『コッド岬』と『カナダにおけるヤンキー』の二巻となった...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...お作は折々目をあげて新吉の顔を見た...
徳田秋声 「新世帯」
...折々見物の席も真闇となる...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...築地に在る事一年半ばかり、更に今住む麻布の家に移ってからも、曝書の折々、わたしは日頃繙く事を忘れていた書冊の間から旧廬(きゅうろ)の落葉を発見して、覚えず愁然とする事がある...
永井荷風 「写況雑記」
...「な、なにを言うのです」弁信としては珍しく、唇をわななかせながらピグミーの言葉を聞きとがめると、ピグミーがせせら笑って、「ホンとにおどかしちゃいけないよ、弁信さん、お前の身体が二つに割れてらあ」「え」「そらそら、肩から胸へかけて、すっと糸を引いたように二つに割れて、そこから絹糸のような血が流れていらあ」「有難う、私も、そんなことだろうと思いました、拭きましょう」いったん、驚かされた弁信が、静かに懐中へ手を入れて、真赤に染った白布を引き出しながら、「どうも折々、こういうことがあって困ります、いいえ、別段に痛むのなんのというのではございませんが……それはそうとしまして、今のその鈴慕(れいぼ)の曲ですな、出過者(ですぎもの)の私は、鈴慕の曲を聞かせていただくごとに、堪能の方々にこれをお尋ねを致してみたのでございます、いったい鈴慕の曲は、どなたの御作曲で、どういう趣を御表現になったのでございますか、そのお方は、その時代は――と生意気千万にも、繰返し繰返しておたずねを致してみましたが、不幸にして、どなたも私のために、明快な御返事を与えて下さる方がございませんでした...
中里介山 「大菩薩峠」
...春の星を落して夜半(よは)のかざしかな春の夜の雲に濡らすや洗ひ髪春や今宵(こよひ)歌つかまつる御姿海棠(かいだう)の精が出てくる月夜かなうた折々月下の春ををちこちす思ひ切つて更け行く春の独りかななどと...
夏目漱石 「草枕」
...暖炉の横に赤い帽子を被った士官が何かしきりに話しながら折々佩剣(はいけん)をがちゃつかせている...
夏目漱石 「趣味の遺伝」
...折々夜半(よなか)に看護婦を小さい声で起していた...
夏目漱石 「変な音」
...「何時まで経ったって片付きゃしない」彼は折々筆を擱(お)いて溜息(ためいき)をついた...
夏目漱石 「道草」
...折々大きな声で相の手を入れている...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...返事はなくて吐息折々に太く身動きもせず仰向ふしたる心根の愁(つら)さ...
樋口一葉 「にごりえ」
...東京にゐる頃でも折々...
牧野信一 「裸虫抄」
...折々フーとなって...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...それでこういうよろこばしい感情を折々...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...途中で炭が減って火が弱くなりましたら脇の七輪で火を起して折々継ぎ足さなければなりません」小山「テンピに使う炭は何がいいのです」お登和嬢「土釜(どがま)の上等がようございますね...
村井弦斎 「食道楽」
...しかし折々は姪の店にも往つてとまつてゐた...
森鴎外 「壽阿彌の手紙」
...折々どこかへ行くなぞと云ふ時も...
森鴎外 「半日」
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