...折々彼女の手や髪や水色のリボンを掛けた頸(くび)へ注がれてゐるのに気がついた...
芥川龍之介 「舞踏会」
...ただ文書を以て交際するだけなら折々小面倒で嫌気(いやき)を生ずる事があってもそれほど深く身に染(し)みないが...
内田魯庵 「八犬伝談余」
...そのきら/\する光から折々慾望がまた燃え立つてきて...
スティーヴンスン 佐藤緑葉訳 「帽子箱の話」
...折々はフランスの海岸が見えるくらいに澄みわたっていた空気が...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...折々余が陋屋に来りて泊ることもあるなり...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...唯(ただ)折々人目を忍んで逢瀬(おうせ)をたのしむくらいに留(とど)めて置くつもりであったが...
永井荷風 「つゆのあとさき」
...この汚い溝(どぶ)のような沼地を掘返しながら折々は沙蚕(ごかい)取りが手桶(ておけ)を下げて沙蚕を取っている事がある...
永井荷風 「日和下駄」
...富者の権利と義務話は横道にはいるようであるが、折々、我が国においても実業家に位階(いかい)を授(さず)けらるるとか、あるいは叙勲(じょくん)せらるべしという議論がさかんに行われる...
新渡戸稲造 「自警録」
...折々見るや尻目おそろし...
樋口一葉 「大つごもり」
...家の内森として折々溜息の聲のもれるに私は身を切られるより情なく...
樋口一葉 「にごりえ」
...何事(なにごと)を語(かた)らんとや折々(をり/\)曲(ま)ぐる口元(くちもと)の愛(あい)らしさ...
樋口一葉 「軒もる月」
...ケイト先生の自由英作文といふので滿點を貰ひお前は外國の中學を出たのか? と訊ねられて以來折々廊下でつかまつたが...
牧野信一 「文學的自叙傳」
...折々辰男に對しては神經を凝らしてゐた...
正宗白鳥 「入江のほとり」
...折々手を隠しから出さずに肘を前の方へ突き出すのである...
シュミットボン Willhelm Schmidt-Bonn 森鴎外訳 「鴉」
...折々文人らしい舟遊びの客もあった...
山本笑月 「明治世相百話」
...そして折々に珍しい食物とか衣服など持たせてやるので...
吉川英治 「三国志」
...折々に、乳母の比企(ひき)の局(つぼね)から心づけては届けてくれた身まわりの調度や雑器などはある...
吉川英治 「源頼朝」
...木立の梢には折々風が立つらしく...
若山牧水 「比叡山」
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