...私は「自分」と云ふものを把持してゐることの出来ない弱者です...
伊藤野枝 「遺書の一部より」
...皐月さんはお腹の中にあるうちは自分の体の一部だと思つてゐらつしやるらしいんですけれど私は自分の身内にあるうちにでも子供はちやんと自分の『いのち』を把持して...
伊藤野枝 「私信」
...現在の生活に対して把持して来た誇りを根底から奪ひとられて仕舞ふであらうと云ふ負け惜しみであつた...
伊藤野枝 「惑ひ」
...その小娘の十四になるのが鰊(にしん)を一把持っていたが...
田中貢太郎 「堀切橋の怪異」
...今日の認識をしつかり把持せよ...
種田山頭火 「松山日記」
...その一心を把持するといふ心持が非常に小さくなつて了ふところだつた……』そこにまた足音が几帳のかげでして...
田山花袋 「道綱の母」
...ただこの一誠以て全心を把持するが故にあらずや...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...共産主義とトルストイ流の労働主義とをこね合した思想の把持者だった...
豊島与志雄 「黒点」
...彼は内心の二つの矜(ほこ)りをあくまでも把持していった...
豊島与志雄 「反抗」
...如何なる事態のなかにも一種の理想主義を把持するし...
豊島与志雄 「文学精神は言う」
...自分でも把持(はじ)し...
夏目漱石 「私の個人主義」
...十分よくそのリズムの心像を把持するであらう...
萩原朔太郎 「青猫」
...眞理の把持(サチヤグラハ)はスワデシなくしては不可能である...
エム・ケー・ガンヂー 福永渙訳 「スワデシの誓」
...お勢は手に一部の女学雑誌を把持(も)ち...
二葉亭四迷 「浮雲」
...更に偉大なる何物を把持するや――この聖人の言葉は俺の胸を貫く...
牧野信一 「変装綺譚」
...マルクシストか少なくともマルクシズムの部分的把持者であるらしいことを私は忘れないで...
三好十郎 「清水幾太郎さんへの手紙」
...大きな精神を把持(はじ)させなければ...
吉川英治 「新書太閤記」
...しかしその勝算とは何か? いかなる秘策を把持しておるか? 誰れが秘密の鍵を握っておるのか? いかなる次第で敵味方に分れたか? ルパンは全然何等知っていない...
モウリス・ルブラン 新青年編輯局訳 「水晶の栓」
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