...若い沼南が流連荒亡した半面の消息を剔抉(てっけつ)しても毫も沼南の徳を傷つける事はないだろう...
内田魯庵 「三十年前の島田沼南」
...誰かがこの女の心臓を抉って...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...御婦人でこの場所を抉られましたらもうどんなことをしましても命のあろうはずはございません...
橘外男 「蒲団」
...その両眼を抉(えぐ)った時期は...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...却つて林の中や森の下道や赤く一ところ抉られたやうになつてゐる絶壁(きりざし)の方が好ましいらしく...
田山録弥 「赤い鳥居」
...確かに突いて抉ったものだが...
中里介山 「大菩薩峠」
...あの花魁のは抉(えぐ)ってあるんだそうですから...
中里介山 「大菩薩峠」
...印籠抉(いんろうじやくり)になつてゐる雨戸が一枚...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...労苦に抉りとられた筋肉と煤けた皮膚と頭髪が入乱れて...
原民喜 「火の子供」
...鵜呑(うの)みにして埋めて来た哀(かな)しみが抉(えぐ)りだされるのだ...
本庄陸男 「石狩川」
...日本の川柳で極めてリアルに抉(えぐ)って描写されているが...
宮本百合子 「明日の実力の為に」
...その異常に白い頸首(くび)ははっきりとかれの目に抉(えぐ)り込まれてつッ立っていた...
室生犀星 「幻影の都市」
...止めをよほど抉り利かして置かなければならぬ...
室生犀星 「庭をつくる人」
...なにか肺腑(はいふ)を抉(えぐ)るようなことを...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...国家と民族との自覚をたしかにしなければならない」東湖は膝へ拳を抉(えぐ)りつけるようにした...
山本周五郎 「新潮記」
...眼を抉(えぐ)り取られたり...
夢野久作 「死後の恋」
...アケスケに抉(えぐ)り付け...
夢野久作 「探偵小説の真使命」
...自分の手で小柄(こづか)で抉(えぐ)り抜いていたというのである...
吉川英治 「柳生月影抄」
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