...扨(さ)て是から猫は如何なる染色を好むかに就て述べるのであるが...
石田孫太郎 「猫と色の嗜好」
...『扨(さて)、其の頃、ヴエスヴイアスから遠くないメシナといふ港に、此の話しを伝へたプリニイの叔父さんが居た...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...扨この誇大狂と云ふ病気は瘋癲病院に入つて居る金箔附の狂気に限ることであらうか...
丘浅次郎 「人類の誇大狂」
...萬一どうかした事で契約でも出來たら扨てどうしてよいのだか困つた事だと思ひ乍ら歩いて居たので...
高濱虚子 「俳諧師」
...扨(さて)も/\と云(いは)ぬ者なく...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...扨いよ/\仙臺に住む仙臺人となつて見ると...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
...扨、象のことを知らないで、象の部分を知つたことを以て、何かおぼろに感じた象のことを言表はさうとするやどんなことになるであらうか? とまれ作品は一個の全体的な或物でなければならない、象の鼻だけではすまない、然るに鼻しか知らないといふ時には、本来なら、おのづと象が描きたくなるものではないのだが、而も文学をやつて来た以上それを描きもしなければならぬといふ極く卑近な理由からしてともかく象を描かうといふ場合、我々はかの意志にばかり依拠することとなるのである...
中原中也 「撫でられた象」
...更紗((サラサ))模様の着物著た、お転婆の茶目の娘が来るならば、――その娘は八才で、隣りの職人の子なのだが、此の野放しの娘奴(め)が、その背に編髪(おさげ)を打ゆすり、片隅で跳ね返り、彼にとびかゝり、彼を下敷にするといふと、彼は股(もゝ)に噛み付いた、その娘、ズロース穿いてたことはなく、扨、拳固でやられ、踵(かかと)で蹴られた彼は今、娘の肌の感触を、自分の部屋まで持ち帰る...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...扨いよいよ問題は...
浜尾四郎 「正義」
...扨 公儀にて無御構...
福澤諭吉 「御時務の儀に付申上候書付」
...所謂一妻一妾は扨置(さてお)き...
福沢諭吉 「女大学評論」
...銀行に預けるは扨(さて)置き...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...書画は扨(さて)置き骨董も美術品も一切(いっさい)無頓着(むとんじゃく)...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...扨て此人情は世界普通で...
福澤諭吉 「明治三十一年三月十二日三田演説會に於ける演説」
...扨鳶魚先生が言れた通り...
南方熊楠 「女順禮」
...扨(さ)ておぢいさんはそのまゝ田舎に戻(もど)つて...
宮原晃一郎 「拾うた冠」
...扨(さて)はと思ってその方に急ぎました...
夢野久作 「白髪小僧」
...扨(さて)はここから初めるのかな……と思って立上ると...
夢野久作 「爆弾太平記」
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