...(最も手近な例を引けば...
芥川龍之介 「文芸的な、余りに文芸的な」
...こころみに誰にも知られている手近な実例をあげてみるならば...
江戸川乱歩 「探偵小説の「謎」」
...まず一番手近な山本を抱き起して薬を呑ませると...
江見水蔭 「月世界跋渉記」
...手近な所から段々と遠ざかつて行くが...
丘浅次郎 「固形の論理」
...手近な処から一つの催しを始めようではないか...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...手近なところから始めよ...
田山録弥 「私の考へてゐる事」
...そう思って私は試みに手近な書物のさし絵を片はしから点検して行った...
寺田寅彦 「浮世絵の曲線」
...それから更に蔓(つる)を延ばして手近なさんごの樹を侵略し...
寺田寅彦 「烏瓜の花と蛾」
...手近なところでは...
豊島与志雄 「鴨猟」
...手近なところに出来ますよ...
豊島与志雄 「白塔の歌」
...「ホホホ、もう梅が咲いている」お君の方はたちどまって、手近な、その一枝を無雑作に折って、香いを鼻に押し当て、「おお好い香り、ああ好い香い」心のうちにときめく香りに、お君は自分ながら堪えられないように、「殿様に差上げましょう、この香りの高い梅の花を」お君はそれを銚子の間に挿(さ)し込んで歩みを移そうとした途端に、よろよろとよろめき、「おや」それはほろ酔いの人としては、あまりに仰山なよろめき方であります...
中里介山 「大菩薩峠」
...最も手近なところにあるありあわせの頭がその相手であります...
中里介山 「大菩薩峠」
...毒は手近なところにあつた...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...余は極めて手近なる必要に応ぜんために至急新仮字(しんかな)の製造を望む者なり...
正岡子規 「墨汁一滴」
...一番手近なお杉の家の方へ歩いていった...
横光利一 「上海」
...手近な百姓牢に預けて置いたのだから...
吉川英治 「江戸三国志」
...人間生活の中の火はもっとあたたかでそして朝夕に生かされている手近なものであるはずだ...
吉川英治 「文化の日」
...極く手近な、芝口の質屋――大蔵が住んでいた奈良井屋の跡にはもちろん町奉行がすぐ行って、家財秘密書類など残らず没収し、何も知らずに留守居をしていた朱実(あけみ)の身は奉行所の手に今、保護されている...
吉川英治 「宮本武蔵」
便利!手書き漢字入力検索