...あの手負いが誰にも見つからずに...
江戸川乱歩 「湖畔亭事件」
...天下を知ろしめす天皇のお射になりました猪の手負い猪のくいつくのを恐れてわたしの逃げ登つた岡の上のハンの木の枝よ...
稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳 「古事記」
...手負いのようなものだわ...
ストリンドベルヒ August Strindberg 森鴎外訳 「一人舞台」
...彼とひとしく黄海に手負いし彼が乗艦松島の修繕終わりて戦地に向かいしと聞くほどもなく...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...たんすの中「何より傷の手当が先だ」平次は何より手負いのことばかり心配しております...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...少しの隙を狙って手負いのお通を抱き上げると...
野村胡堂 「天保の飛行術」
...死んだり手負いになったりした鯨は...
久生十蘭 「奥の海」
...慟哭する孝助を叱って手負いの主人は養子先の相川家へ逃がしてやる...
正岡容 「我が圓朝研究」
...それに、これでも、このお初は、軽業小屋にいたおかげで、狙った的ははずさないのさ! 御府内の銃(つつ)ばらいは、御禁制だが、ここは川向う、しかも小梅のはずれ、おとがめもあるまいから、どれ、ひとつ、久しぶりで、腕だめしを見せましょうか――そうさねえ、雪さん、ついお前さんのうしろの、何の木だか、細い幹、あの木の地上(した)から五尺ばかりに見えている、枝を払ったあとの瘤(こぶ)、あそこへ中(あて)て見ましょうね――」雪之丞はじめ、平馬も、手負いも、お初の能弁に魅されたように目をみはって、じっと、手元と的を見比べる...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...そのためヒョイと眼を開いた仙太郎、畜生っ! と叫んで両足で水木を蹴倒す)仙太 (手負いの体をもがきながら、刀を抜いて二人を防ぎつつ狂ったように叫ぶ)畜生っ! ひ、ひ、人をだましやがって! き、貴様達それでも男かっ! それでも士かっ! い、いいや、そ、それが士だ! だましたな! だましたな! 犬畜生っ! い、い、命が惜しいと、だ、だ、誰が言ったんだ! そ、それを、い、い、いまさら、だましやがって! き、貴様達士なんぞ、人間じゃねえ、に、人間じゃねえ!水木 黙れ! 黙らぬか! 加多っ! (抜刀、斬り下ろす)加多 (これも抜刀するが、斬り下ろしかねながら)仙太、どうか死んでくれ!仙太 (刀を振廻すが、手負いのため、相手には届かぬ、喚く)し、し、死んでくれと? 畜生! 死にたくねえと誰が言ったっ! 皆で一緒にと、あれほど言った、うぬ等の舌の根がまだ乾かねえのに! い、い、い、や、こんな、こんな、こんな目にあっては、死に、たくねえ...
三好十郎 「斬られの仙太」
...シンとして手負いの男と久保を見守つて立つていた...
三好十郎 「肌の匂い」
...「手負いだな...
山本周五郎 「夜明けの辻」
...手負いを交ぜた七人の小勢では...
吉川英治 「剣難女難」
...これも手負い猪(じし)となった藤五が...
吉川英治 「私本太平記」
...幾人かの手負いが打ち捨てられ...
吉川英治 「私本太平記」
...いかに、十倍の兵力と、弓勢をつらねても、この烈風が味方しない以上、秀郷、貞盛の連合軍も、いたずらに矢を費い、手負いや死者を、積むだけであった...
吉川英治 「平の将門」
...周馬とお十夜は苦りきッてその後につき、手負いの一角は、時折、ウーム、ウーム、と虫の息をもらしていた...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...恐らくは手負いとなった古きものどもの一体――多分唯一の生存者――を追っ手の前に置き去りにし...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
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