...そこで、当番御目付土屋長太郎、橋本阿波守(あわのかみ)は勿論、大目付河野豊前守(こうのぶぜんのかみ)も立ち合って、一まず手負いを、焚火(たきび)の間(ま)へ舁(かつ)ぎこんだ...
芥川龍之介 「忠義」
...あの手負いが誰にも見つからずに...
江戸川乱歩 「湖畔亭事件」
...手負いのようなものだわ...
ストリンドベルヒ August Strindberg 森鴎外訳 「一人舞台」
...なかの内臓は黒い戦士のあぎとに暴露されていた――その方の胸板はあまりに厚くてどうにも喰いやぶるすべがないらしかった――そして手負いの彼の眼の暗紅のザクロ石は戦いのみが燃やすことのできる兇暴さに燃えているのが見られた...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...手負いの伊東を取囲んで斬ってかかる...
中里介山 「大菩薩峠」
...手負いは気が立っちゃ悪い」「どこへ行きなさるんで――」ガラッ八は追っかけて訊きました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...――宇太松でございますよ」手負いは苦しい息を絞りました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...少しの隙を狙って手負いのお通を抱き上げると...
野村胡堂 「天保の飛行術」
...手負い猪です...
葉山嘉樹 「牢獄の半日」
...死んだり手負いになったりした鯨は...
久生十蘭 「奥の海」
...それに、これでも、このお初は、軽業小屋にいたおかげで、狙った的ははずさないのさ! 御府内の銃(つつ)ばらいは、御禁制だが、ここは川向う、しかも小梅のはずれ、おとがめもあるまいから、どれ、ひとつ、久しぶりで、腕だめしを見せましょうか――そうさねえ、雪さん、ついお前さんのうしろの、何の木だか、細い幹、あの木の地上(した)から五尺ばかりに見えている、枝を払ったあとの瘤(こぶ)、あそこへ中(あて)て見ましょうね――」雪之丞はじめ、平馬も、手負いも、お初の能弁に魅されたように目をみはって、じっと、手元と的を見比べる...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...また馬糞汁もて手負いを療じた(『雑兵(ぞうひょう)物語』下)...
南方熊楠 「十二支考」
...手負いの牡鹿をどうにもならぬ憤激で熱狂させた時...
ジャック・ロンドン Jack London 山本政喜訳 「荒野の呼び声」
...これも手負い猪(じし)となった藤五が...
吉川英治 「私本太平記」
...幾人かの手負いが打ち捨てられ...
吉川英治 「私本太平記」
...手負いは数も知れなかった...
吉川英治 「新書太閤記」
...「手負いも出た...
吉川英治 「新書太閤記」
...手負いの血まみれ武者や...
吉川英治 「茶漬三略」
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