...彼は失魂落魄で帰ってきた。(手短く)...
...手短に其由来(わけ)を語つて清子に渡した...
石川啄木 「鳥影」
...手短に私部小室が單身出で來れる由を告げて協議にかゝる...
伊藤左千夫 「古代之少女」
...電話の内容を手短かに話をし...
海野十三 「暗号数字」
...手短に話して見給え」明智が...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...などを手短に喋り立てた...
大阪圭吉 「石塀幽霊」
...若狭守は主人に代って手短に挨拶をした...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...以前はあれほどでもなかったんだが、だんだん悪くなりやがった」と言って大きい溜息(ためいき)をつき、「実は、奥さん」とあらたまった口調になり、「私ども夫婦は、中野駅の近くに小さい料理屋を経営していまして、私もこれも上州の生れで、私はこれでも堅気のあきんどだったのでございますが、道楽気が強い、というのでございましょうか、田舎のお百姓を相手のケチな商売にもいや気がさして、かれこれ二十年前、この女房を連れて東京へ出て来まして、浅草の、或る料理屋に夫婦ともに住込みの奉公をはじめまして、まあ人並に浮き沈みの苦労をして、すこし蓄えも出来ましたので、いまのあの中野の駅ちかくに、昭和十一年でしたか、六畳一間に狭い土間附きのまことにむさくるしい小さい家を借りまして、一度の遊興費が、せいぜい一円か二円の客を相手の、心細い飲食店を開業いたしまして、それでもまあ夫婦がぜいたくもせず、地道に働いて来たつもりで、そのおかげか焼酎(しょうちゅう)やらジンやらを、割にどっさり仕入れて置く事が出来まして、その後の酒不足の時代になりましてからも、よその飲食店のように転業などせずに、どうやら頑張って商売をつづけてまいりまして、また、そうなると、ひいきのお客もむきになって応援をして下さって、所謂(いわゆる)あの軍官の酒さかなが、こちらへも少しずつ流れて来るような道を、ひらいて下さるお方もあり、対米英戦がはじまって、だんだん空襲がはげしくなって来てからも、私どもには足手まといの子供は無し、故郷へ疎開などする気も起らず、まあこの家が焼ける迄(まで)は、と思って、この商売一つにかじりついて来て、どうやら罹災(りさい)もせず終戦になりましたのでほっとして、こんどは大ぴらに闇酒を仕入れて売っているという、手短かに語ると、そんな身の上の人間なのでございます...
太宰治 「ヴィヨンの妻」
...私は彼女にパパの様子を手短かに話した...
谷崎潤一郎 「鍵」
...手短に申しますと...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...」「でしたら手短にお話を...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「三枚の学生」
...要点だけをごく手短かに叙べねばならぬ...
戸坂潤 「技術と科学との概念」
...手短くいえば武神なのである...
中山太郎 「穀神としての牛に関する民俗」
...そんなことを手短かに話し合つた...
野上豐一郎 「大戰脱出記」
...ペーピーは手短かにいって...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...手短に言うと、モートンは今晩の夕食会に行けないから、ブルース卿にお詫びを言ってくれとのことだ」「あら、よかった...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「鉄面皮」
...ニナール姫は今までの話を手短かにしました...
宮原晃一郎 「ラマ塔の秘密」
...ここで一番手短(てみじか)にその地方の暮しを見ることが出来ます...
柳宗悦 「手仕事の日本」
...手短(てみじ)かに私の心づいたことを述べておくと...
柳田国男 「海上の道」
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