...ジョン・ケエルおやじはこの金のうち幾らかをまだ手放したくはなかったらしい...
ウイリヤム・バトラ・イエーツ 松村みね子訳 「カスリイン・ニ・フウリハン(一幕)」
...手放して了えば、自分の作ったものでも自由にならないから、愛着のある作品を人手に渡すのは厭(いや)になる...
高村光太郎 「回想録」
...一万円でも手放しませんよ...
太宰治 「水仙」
...」と腋の下に両手を当てそのまま、私は手放しで、ぐしゃと泣いて、たまらずああんと声が出て、みっともない二十八のおたふくが、甘えて泣いても、なんのいじらしさが在ろう、醜悪の限りとわかっていても、涙がどんどん沸いて出て、それによだれも出てしまって、私はちっともいいところが無い...
太宰治 「皮膚と心」
...お宮が手放した方を取り上げて斜めに眺(なが)めていると...
近松秋江 「うつり香」
...あの仕事を手放したのが惜しくてたまりません...
中里介山 「大菩薩峠」
...そればっかり心配になって仕方がありません」「へえ――驚きましたね」北原賢次は三たび手放しで...
中里介山 「大菩薩峠」
...惜しげもなく手放してくれた苦い経験を...
中里介山 「大菩薩峠」
...手放しで静かに聞いている...
野村胡堂 「胡堂百話」
...私」お粂は手放しで泣き出すのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...突き飛ばされて傘を手放し...
長谷川伸 「瞼の母 二幕六場」
...拾円位なら手放してもよろしうございます...
林芙美子 「子供たち」
...情けない」と手放しで泣きだした...
久生十蘭 「重吉漂流紀聞」
...之れつきりで女を手放してしまつて...
平出修 「計画」
...それを手放しては安心してゐられぬ...
森鴎外 「半日」
...彼は剃刀を自分の傍から手放したくはなかつた...
横光利一 「悲しみの代價」
...「王さまも飛車も手放しか...
横光利一 「旅愁」
...しかしよう母がそちを手放してよこしたの」と...
吉川英治 「私本太平記」
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