...所詮は長尾(ながお)の僧都(そうず)は申すまでもなく...
芥川龍之介 「邪宗門」
...所詮は皆一様に死ぬけれども...
石川啄木 「二筋の血」
...所詮は、物質が燃え上るだけのことに違いないのだけれど、火事は、なんだか非科学的だ...
太宰治 「春の盗賊」
...所詮は、八郎太が一手柄立てさえすればよいのではないか――こういう機――一手柄や、二手柄――」益満は、怒っているような口調であった...
直木三十五 「南国太平記」
...「斉彬公を――いや、斉彬公を調伏せんにしても、所詮は、久光殿を、お世継にしようとする大方の肚であろう...
直木三十五 「南国太平記」
...こんな莫迦(ばか)げた踊りを(白狐のような夏姫も所詮は操(あやつ)られたにすぎぬのだ)己の一生の無意味さが他人事のように眺められたのである...
中島敦 「妖氛録」
...所詮は、十一月の曇つた午後に、風が往来の砂塵を巻きあげてゐるやうなもんだと、僕の、心はともかく肉体は、左様に今はや観念してゐるやうな具合だ...
中原中也 「私の事」
...所詮は疲れた駄馬の幸福である...
萩原朔太郎 「散文詩・詩的散文」
...所詮は翻案化するに過ぎないのだが...
萩原朔太郎 「詩の翻訳について」
...所詮はどこへ行っても淋しい一人身...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...こんな気まぐれも所詮は道化染みた大仰な身振りに過ぎぬといふ意識があつたが...
北條民雄 「道化芝居」
...所詮は夢とうつゝの境を忘れ勝ちな屋根裏の wet だ...
牧野信一 「僕の酒」
...その上に曝したわたしの眼には所詮は逃避成し難い発光体が何年来となく渦を巻いて魂をゆるがせるのであつた...
牧野信一 「幽霊の出る宮殿」
...所詮はその許嫁を見返してやり度いばつかりだ...
正岡容 「吉原百人斬」
...所詮は「楽な登攀」をしか思ってはいないのである...
松濤明 「山想う心」
...所詮は小刀細工です...
山中貞雄 「五題」
...所詮はカソリックと自然科学の歴史と見ても良いと矢代には思われる...
横光利一 「旅愁」
...所詮は、逃げ終(お)わせられぬものと、観念したらしいのである...
吉川英治 「梅里先生行状記」
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