...所在なさそうにうろついている...
芥川龍之介 「母」
...倉地は所在なさそうに葉巻をふかしてしばらくそこらをながめ回していたが...
有島武郎 「或る女」
...長い夜を所在なさそうに読みもしない書物などをいじくっていたが...
有島武郎 「或る女」
...所在なさそうに半眼で...
泉鏡花 「歌行燈」
...何だか所在なさそうに...
泉鏡花 「婦系図」
...やがて所在なさそうに行ってしまいました...
橘外男 「仁王門」
...所在なさそうに前栽(せんざい)のけしきを眺めている自分の童姿であった...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...お宮は所在なさそうに...
近松秋江 「別れたる妻に送る手紙」
...それから一年くらいはその寒暖計が風呂場のどこかの隅に所在なさそうにころがっていたようであったが...
寺田寅彦 「家庭の人へ」
...すみのほうの椅子(いす)に押し黙って所在なさそうに見えた...
寺田寅彦 「北氷洋の氷の割れる音」
...所在なさそうにホッと息をつきました...
中里介山 「大菩薩峠」
...お雪ちゃんは、こんな気持になって、明日、お寺へ落着いたなら、真先に北原さんへ手紙を書こうと決心し、それから、「先生、こんなことなら、あなたを白骨にお置き申した方がようござんしたねえ」と、所在なさそうな、転寝(うたたね)の竜之助を見て、なぐさめの言葉をかけました...
中里介山 「大菩薩峠」
...お雪さん、泣かないで、こっちへお入り」「お嬢様に合わせる面(かお)がございません」「だって、いつまでも、そうして泣き伏しているわけにはゆきますまい、こっちへお入りなさい、みんなして仲よく秋の夜話をしましょうよ」「そうおっしゃっていただくと、なおさら面目がございません、わたくしは、このまま消えてなくなります」「おや、消えてなくなるとは凄(すご)いですね、せっかく、助かって戻ってくれたのを喜んで上げるのに、消えてなくなるなんぞとはえんぎが悪いのねえ」「御機嫌にさわって重々申しわけがございませんが、消えてなくなると申しましたのは、また死を急いで死にに行くという意味ではございません、わたくしは、このままお許しをいただいて、もうどなたにも面を合わせずに、ひとり大阪の親戚へ帰ってしまうつもりでございます」「おや、お雪さんには大阪に御親戚がありましたの」「はい」「そこで、音なしの先生は、これからどうあそばしますつもり?」お銀様から反問的に問いかけられて竜之助が、所在なさそうに、「拙者は、ついこの近いところの大谷風呂というのへ暫く逗留させられることになったから、そこで当分養生をしようと思っているのだ、近いところだから、話しにおいでなさい、いつでも風呂が沸いているし、お肴(さかな)もあるし、別嬪(べっぴん)もいる」「有難う、では、近いうちにお伺い致しましょう...
中里介山 「大菩薩峠」
...いかにも所在なさそうに小林と応対するところに...
夏目漱石 「明暗」
...所在なさそうに立膝で坐っていた...
久生十蘭 「蝶の絵」
...爺やたちも私があんまり所在なさそうにしているので陰では心配しているらしかったが...
堀辰雄 「菜穂子」
...爺やたちも私があんまり所在なさそうにしているので陰では心配しているらしかったが...
堀辰雄 「楡の家」
...所在なさそうにゆすぶり初めた...
夢野久作 「復讐」
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