...東京(とうきやう)の或る固執派(オルソドキシカー)教会(けうくわい)に属(ぞく)する女学校(ぢよがつかう)の教師(けうし)が曾我物語(そがものがたり)の挿画(さしゑ)に男女(なんによ)の図(づ)あるを見(み)て猥褻(わいせつ)文書(ぶんしよ)なりと飛(と)んだ感違(かんちが)ひして炉中(ろちう)に投込(なげこ)みしといふ一ツ咄(ばなし)も近頃(ちかごろ)笑止(せうし)の限(かぎ)りなれど...
三文字屋金平 「為文学者経」
...今まで何んの彼のと我物顔に民衆芸術を説いていた人達には...
大杉栄 「新しき世界の為めの新しき芸術」
...いわく「俗悪なる見解が如何に我物顔に横行せるかを見よ……彼等にあっては現段階の事象に対する暴露的批判が小児病的鋭舌をもって試みられてはいる...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...じみな凝った日本服のあなたを我物のように抱いて...
豊島与志雄 「常識」
...お銀様が我物顔に...
中里介山 「大菩薩峠」
...その銭の音だけがザラリザラリと深夜の畳の上を我物顔に走るのです――初めのうちはそうでもなかったが...
中里介山 「大菩薩峠」
...あまり車夫が猿股をつけて天下の大道を我物顔に横行濶歩(かっぽ)するのを憎らしいと思って負けん気の化物が六年間工夫して羽織と云う無用の長物を発明した...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...お勝手を我物顏にして居る樣子を見るまでもなく...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...『曾我物語』や、『平家』や、『太平記』や、ないしはまた足利時代に流行した『秋夜長物語』の類にも通暁した...
原勝郎 「東山時代における一縉紳の生活」
...其方(そち)が大世界の不思議をふと我物と悟った時...
ホフマンスタアル Hugo von Hofmannsthal 森鴎外訳 「痴人と死と」
...まだ外人が我物顔に振舞っているのが目ざわりになることもあるが...
正宗白鳥 「軽井沢にて」
...『曾我物語』には曾我兄弟の母が兄弟の父より前に京の人に相馴れて生んだ異父兄京の小次郎を祐成(すけなり)がその父の復仇に語らい掛くる事あり...
南方熊楠 「十二支考」
...子供多く設けたは愛憎が尽きる(『曾我物語』四の九...
南方熊楠 「十二支考」
...『曾我物語』に、仁田忠常が頼朝の眼前で仕留めた「幾年経るとも知らざる猪がふしくさかく十六付きたるが」とは誤写で、何とも知れがたいが、多分何かの木が生えていたとあったのかと思う...
南方熊楠 「十二支考」
...サフランを我物としたのはこの時である...
森鴎外 「サフラン」
...6485あれを我物にした人は...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...一旦(たん)我物にした女だからというので...
シュニッツレル Arthur Schnitzler 森鴎外訳 「みれん」
...知識と情※(じやうねつ)と血と汗とを集めた労働の結果である財力を奪つて我物(わがもの)の如(ごと)くに振舞つてゐる...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
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