...迚(とて)も痛切なる自覚せる結果に依つて獲得したる制度なり習慣なり権利でなくては真に獲得者が之を我物として活用する事は不可能である...
有島武郎 「狩太農場の解放」
...東京(とうきやう)の或る固執派(オルソドキシカー)教会(けうくわい)に属(ぞく)する女学校(ぢよがつかう)の教師(けうし)が曾我物語(そがものがたり)の挿画(さしゑ)に男女(なんによ)の図(づ)あるを見(み)て猥褻(わいせつ)文書(ぶんしよ)なりと飛(と)んだ感違(かんちが)ひして炉中(ろちう)に投込(なげこ)みしといふ一ツ咄(ばなし)も近頃(ちかごろ)笑止(せうし)の限(かぎ)りなれど...
三文字屋金平 「為文学者経」
...この古美術品を我物として愛撫したかったのです...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...賊は折角我物とした文代さんを...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...なぜならば、食事が終ると、やはり我物顔で、以前の室の寝台の上に身をのせてしまったからです...
中里介山 「大菩薩峠」
...その銭の音だけがザラリザラリと深夜の畳の上を我物顔に走るのです――初めのうちはそうでもなかったが...
中里介山 「大菩薩峠」
...しかし今の彼は我物顔に子供を抱いている細君を...
夏目漱石 「道草」
...あまり車夫が猿股をつけて天下の大道を我物顔に横行濶歩(かっぽ)するのを憎らしいと思って負けん気の化物が六年間工夫して羽織と云う無用の長物を発明した...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...よそよそしいものを我物顔(わがものがお)にしゃべって歩くのです...
夏目漱石 「私の個人主義」
...此處へ入つて錢箱の蓋(ふた)をあけ我物顏に小判を眺めて喜んで居たから...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...その頃漸(やうや)く江戸の町を我物顏に横行して...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...何處の親類で?」「曾我物語といふ本に書いてある話だよ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...お勝手を我物顏にして居る樣子を見るまでもなく...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...我物でないかと思えば縁(ふち)の欠けた火入まで気色(きしょく)に障わる...
二葉亭四迷 「浮雲」
...『東鑑』は偽りなしだから『異本曾我物語』は啌(うそ)で寅歳生まれで虎と名づけたでなく寅時にでも生まれたのだろ...
南方熊楠 「十二支考」
...子供多く設けたは愛憎が尽きる(『曾我物語』四の九...
南方熊楠 「十二支考」
...サフランを我物としたのはこの時である...
森鴎外 「サフラン」
...「曾我物語」が得意で御前講演の栄を得た...
山本笑月 「明治世相百話」
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