...わしの胸を畏怖と懊悩とに満たしたのである...
テオフィル・ゴーチエ Theophile Gautier 芥川龍之介訳 「クラリモンド」
...総ての懊悩を一掃した快味である...
伊藤左千夫 「水害雑録」
...最も懊悩に堪えないのは...
伊藤左千夫 「水害雑録」
...懊悩して死を決心したこともあつた...
高浜虚子 「椿子物語」
...その荒涼の現実のなかで思うさま懊悩(おうのう)呻吟(しんぎん)することを覚えたわけである...
太宰治 「猿面冠者」
...悦子は懊(じ)れて...
谷崎潤一郎 「細雪」
...物が書けないで懊悩したり苦悶したりした...
田山録弥 「脱却の工夫」
...いつまでも女のいるところが知れなくって懊悩に懊悩を重ねていた時分には...
近松秋江 「霜凍る宵」
...その懊悩を統御することはできないが...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...白雲の胸を刺して煩悶(はんもん)懊悩(おうのう)せしむるには充分でしょう...
中里介山 「大菩薩峠」
...だが、米友としては、「生れなけりゃよかったんだ、君公も、おいらも――いや、あらゆる人間という人間が生れて来さえしなけりゃ、世話はなかったんだが」という結論まではいかないで、ひときわの懊悩(おうのう)をつづけておりますと、ふっとまた一つ聞き耳を立てると、この懊悩も、空想も、一時(いっとき)ふっ飛んでしまい、思わず凝然(ぎょうぜん)として眼を注いだのが、例の、その以前から静まりきったところの納戸(なんど)の一間でありました...
中里介山 「大菩薩峠」
...それにむかむかと迫って来る暑さに攻められたりして彼は只管懊悩した...
長塚節 「太十と其犬」
...日(ひ)は懊惱(あうなう)と困憊(こんぱい)の裡(うち)に傾(かた)むいた...
夏目漱石 「門」
...私たちは常に絶えざる苦悶(くもん)と懊悩(おうのう)とを免かれない...
長谷川時雨 「遠藤(岩野)清子」
...隠し切れない懊悩がその顔に出ていたので...
長谷川伸 「奇術考案業」
...あるいはものうい瞼の候補生に対する彼女自身の懊悩が...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ある幸福」
...このことがあるために若君を懊悩(おうのう)させた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...そのじりじりとする懊悶(おうもん)を紛(まぎ)らわすように黒塗の欄へもたせた忠房の後ろに待ちかねた近侍の衣音(きぬおと)がしたので...
吉川英治 「剣難女難」
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