...僕の懊悩はまだそればかりではない...
伊藤左千夫 「去年」
...懊惱の頭も大いに輕くなつた...
伊藤左千夫 「水害雜録」
...彼の懊悩(おうのう)は一層烈しくなった様に見えた...
江戸川乱歩 「一寸法師」
...凡(およ)そ相手が左様(さよう)に手の込んだ懊(じ)らし方をすると云うのは...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...彼の懊悩は引きつゞいて止む時もなかった...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...陣營中に懊惱の起るを...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...武男が母は新たに一の懊悩(おうのう)をば添えぬ...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...虚弱な不均衡な身体の狂的な懊悩(おうのう)を...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...その懊悩を統御することはできないが...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...そして後で自ら惘然とし、後悔し、代金を払い、懊悩し、而もまた一時の錯乱にかられて、身分と財産を最後の避難所とする潜在意識を以て、再び犯すのであろうか、もしそうならば、結果は、単に錯乱と後悔と懊悩との繰返しにすぎない...
豊島与志雄 「風景」
...佳い香と漁り抜く丈太郎は日と共に懊悩を重ぬるばかりでした...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...私たちは常に絶えざる苦悶(くもん)と懊悩(おうのう)とを免かれない...
長谷川時雨 「遠藤(岩野)清子」
...当年の奇才縦横はどこへか失って懊悩の後半生をおくってしまった...
長谷川伸 「身の上や」
...撃たれよ みづからの深傷(ふかで)に生きたる哄ひをあげて 千年の鉄柵に懊のやうな血を流すべし...
逸見猶吉 「逸見猶吉詩集」
...そのような懊悩は一ヶ月位で消散し初めた...
松永延造 「職工と微笑」
...そこには頑固親父のために心ならずわかれている素一とゆり子との心持もからみあいつつすべての個人生活の懊悩も経済上の逼迫も...
宮本百合子 「「建設の明暗」の印象」
...幾十萬年の間無意識ながらも此の完全な心の一致を摸索し續けて來た人類の苦懊史に一つの希望を與へるにちがひないと彼は思つた...
横光利一 「悲しみの代價」
...子供らしくもない懊悩が...
蘭郁二郎 「夢鬼」
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