...と、兎(と)さま角(こう)さまに、苦悶し、懊悩し、少時は石像木仏の如し...
石井研堂 「大利根の大物釣」
...つねに無限の懊悩に苦しみながらも...
伊藤左千夫 「去年」
...教養と、理智と、審美と、こんなものが私たちを、私を、懊悩のどん底の、そのまた底までたたき込んじゃった...
太宰治 「古典風」
...懊悩(おうのう)の果には...
太宰治 「惜別」
...導尿のたびごとに病人が懊(じ)れること...
谷崎潤一郎 「鍵」
...悦子は懊(じ)れて...
谷崎潤一郎 「細雪」
...――憂愁懊悩たへがたし...
種田山頭火 「其中日記」
...細君は手伝に来ている姉から若い女門下生の美しい容色であることを聞いて少なからず懊悩(おうのう)した...
田山花袋 「蒲団」
...空漠(くうばく)とした女の居処を探すためにひょっとしたら懊悩の極...
近松秋江 「霜凍る宵」
...いつまでも女のいるところが知れなくって懊悩に懊悩を重ねていた時分には...
近松秋江 「霜凍る宵」
...船の中での彼の懊悩を見て一等事物を公平に親切に考えたのは船長であったらしい...
戸坂潤 「社会時評」
...白雲の胸を刺して煩悶(はんもん)懊悩(おうのう)せしむるには充分でしょう...
中里介山 「大菩薩峠」
...日は懊悩(おうのう)と困憊(こんぱい)の裡(うち)に傾むいた...
夏目漱石 「門」
...不安とも懊悩(おうのう)とも付かぬ...
野村胡堂 「死の予告」
...懊悩(おうのう)のあまり外が見えるような風をしてはいたものの...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トニオ・クレエゲル」
...そして懊悩の幾時かの後には...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「悩みのひととき」
...不快な懊悩(おうのう)は去らなかった...
吉川英治 「三国志」
...その人にはまたその人の懊悩(おうのう)がある...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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