...残り惜しい懊悩の吐息がわしの胸を洩れて出た...
テオフィル・ゴーチエ Theophile Gautier 芥川龍之介訳 「クラリモンド」
...私は懊悩(おうのう)のたえ切れない苦しさを少しでも軽くしようと冀(ねが)って...
海野十三 「三角形の恐怖」
...かくまでも昨日(きのう)の奇(く)しき懊悩(なやみ)が自分(じぶん)から離(はな)れぬとして見(み)れば...
アントン・チエホフ Anton Chekhov 瀬沼夏葉訳 「六号室」
...へんに懊(じ)らされているものだから...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...一つには遣(や)る瀬(せ)なさの餘り変に懊(じ)れているのでもあった...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...今度はほんとうに懊れ出しました...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...物が書けないで懊悩したり苦悶したりした...
田山録弥 「脱却の工夫」
...いつまでも女のいるところが知れなくって懊悩に懊悩を重ねていた時分には...
近松秋江 「霜凍る宵」
...陣營中に懊惱の起るを...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...その懊悩の姿は眼に見えるようだ...
戸坂潤 「社会時評」
...だが、米友としては、「生れなけりゃよかったんだ、君公も、おいらも――いや、あらゆる人間という人間が生れて来さえしなけりゃ、世話はなかったんだが」という結論まではいかないで、ひときわの懊悩(おうのう)をつづけておりますと、ふっとまた一つ聞き耳を立てると、この懊悩も、空想も、一時(いっとき)ふっ飛んでしまい、思わず凝然(ぎょうぜん)として眼を注いだのが、例の、その以前から静まりきったところの納戸(なんど)の一間でありました...
中里介山 「大菩薩峠」
...私のその頃の懊悩には...
中沢臨川 「愛は、力は土より」
...懊悩(おうのう)...
夏目漱石 「こころ」
...もし途中で霧か靄(もや)のために懊悩していられる方があるならば...
夏目漱石 「私の個人主義」
...気も狂はんばかりに懊悩してゐる時に...
北條民雄 「無題※[#ローマ数字2、1-13-22]」
...どんな良心の懊悩...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「神の剣」
...「なぜ人を懊悩(おうのう)させるように琴など鳴らしていらっしゃるのですか...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...一個の懊悩(おうのう)の男にしていた...
吉川英治 「私本太平記」
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