...未完成の美を認めないのは君の為に遺憾だと思ふね...
芥川龍之介 「佐藤春夫氏」
...全部十七篇の物語の中にヘルンの怪談趣味は遺憾なく盛り尽された感があります...
稲垣巖 「父八雲を語る」
...『八犬伝』もまた末尾に近づくにしたがって強弩(きょうど)の末魯縞(ろこう)を穿(うが)つあたわざる憾(うら)みが些(いささ)かないではないが...
内田魯庵 「八犬伝談余」
...まことに遺憾(いかん)であったが...
海野十三 「地球要塞」
...遺憾(ゐかん)なく尽して居つたにも拘(かゝは)らず...
田山花袋 「重右衛門の最後」
...オセンチ婦人記者はロマンチックな口調で遺憾の意を表した...
G・K・チェスタートン G. K. Chesterton 村崎敏郎訳 「ブラウン神父の醜聞」
...これは自分が平常はなはだ遺憾に思っている次第である...
寺田寅彦 「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」
...原稿〆切(しめきり)という日曜日の朝のしかも出かけ前に書くのであるから遺憾ながらこれだけである...
寺田寅彦 「高浜さんと私」
...遺憾(いかん)ながらこの話は取消だね...
徳田秋声 「縮図」
...ただ酒があまりよくないのを遺憾とした...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...それらの感情は新しい画工のいわば稚気(ちき)を帯びた新画風と古めかしい木板摺の技術と相俟(あいま)って遺憾なく紙面に躍如としている...
永井荷風 「日和下駄」
...菊田の欠点を遺憾なく発揮したものだが...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...そんなことを憾みがましく云ひ放つた...
牧野信一 「山彦の街」
...生硬さの憾みを覚えたが...
牧野信一 「浪曼的時評」
...ところがその間聊(いささ)か遺憾な事には今私の識(し)っている限りに於てガマズミにスガなる方言は見付からないが...
牧野富太郎 「植物記」
...画工たる能はざるを憾(うら)む...
正岡子規 「病牀譫語」
...遺憾ながら、昭和八年三陸津浪の場合には、津浪襲来直前における三陸沿岸水域のプランクトンの種類とその密度についての資料が全くないのである...
武者金吉 「地震なまず」
...わたくしは蘭軒が初め奈何(いかに)して頼菅二氏に交(まじはり)を納(い)れたかを詳(つまびらか)にすること能はざるを憾(うらみ)とする...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
便利!手書き漢字入力検索