...ただ憫笑(びんしょう)が残っているだけである...
芥川龍之介 「或日の大石内蔵助」
...憫笑のまとになっていたんだが...
梅崎春生 「赤い駱駝」
...と私は憫笑(びんしょう)しておたずねしてみたいとさえ思いました...
太宰治 「駈込み訴え」
...憫笑(びんしょう)を以(もっ)て拾い上げて...
太宰治 「善蔵を思う」
...憫笑(びんしょう)した...
太宰治 「走れメロス」
...みんなに見破られて憫笑(びんしょう)せられているような気がして...
太宰治 「パンドラの匣」
...識者は唯だ其浅陋を憫笑するのみ...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...然るに血気盛りの学生たるもの猶学校の空位空聞に恋々たる其の心事の陋劣にして其思想の旧套(きゅうとう)陳腐を脱せざる事真に憫笑すべきなり...
永井荷風 「偏奇館漫録」
...憫笑(びんしょう)しながら言いました...
中里介山 「大菩薩峠」
...というところに神尾が憫笑(びんしょう)を浮べました...
中里介山 「大菩薩峠」
...繊細な美を解しないことに対する憫笑(びんしょう)や...
中島敦 「虎狩」
...彼等上級生達の思い上った行為に対しても時として憫笑を洩らしかねない彼のことだし...
中島敦 「虎狩」
...専門学者の憫笑を買う危険を冒すのも他意あるわけではない...
中谷宇吉郎 「老齢学」
...彼を憫笑してくれるのであった...
原民喜 「玩具」
...一言でいえば憫笑すべきものとする見方は...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「道化者」
...自分も恁(こんな)心理は一種病的で、医学上の露出狂 Expositionmania のやうなもので、何れも立派に着かざり、万物の霊長とは之だぞと取繕つて坐つてゐる真中に、容赦なく、赤裸々の醜をさらけ出して、皆を座に堪へぬまで赤面させ自分は後(あと)で指弾と、冷罵と、憫笑とを、播いた収穫として投げ返されると知つて、自分が恁病に罹つてゐるのではないかと思ふと堪らなく恥しくもなる、がそれはまだ治癒の望みもある、絶望ではない、併し本当の厭人厭世となつたら、なかなかそのやうな生優しいものではない...
宮原晃一郎 「愛人と厭人」
...要助は憫笑(びんしょう)するように...
吉川英治 「脚」
...『どうしても不承知と云うのか?』『絶対に!』『よし……』ドリアンは憫笑を浮かべながら黙って紙片に何事かを書いて...
渡辺温 「絵姿」
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