...水底(みなそこ)のその悪竜の影に憧るる面色(おももち)した時...
泉鏡花 「婦系図」
...幸か不幸か知らぬが終に半生を文壇の寄客となって過ごしたのは当時の青春の憧憬に発途しておる...
内田魯庵 「四十年前」
...認める勇気のなかった憧憬(どうけい)が...
岡倉覚三 村岡博訳 「茶の本」
...それらは暫(しばら)くの間若い心を躍らせて常に憧憬の衢(ちまた)であった東都の空を想う念も暫くの間は薄らいでいた...
高浜虚子 「子規居士と余」
...それに憧(あこが)れていながら...
太宰治 「如是我聞」
...ともかく印度に来ている欧州人が非常な憧憬を持っていることだけは間違いありません...
橘外男 「ナリン殿下への回想」
...とにかくその昔はどれほど自分の憧(あこが)れを充(み)たしてくれたか知れなかった...
谷崎潤一郎 「吉野葛」
...文学的には中世的カトリックへの憧憬であったが...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...そのままの憧れを懐いて胸の中に戻ってくる...
豊島与志雄 「秋の気魄」
...ただやるせない憧憬の気持のみが...
豊島与志雄 「反抗」
...庭先きの小さな池にタラヒを浮べて憧れを満足させた...
牧野信一 「秋晴れの日」
...常々憧れてゐる文化的生活を営まうなどゝ思つた...
牧野信一 「蝉」
...絶望とそしてあの憧憬...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ある幸福」
...ひそかなやるせない憧憬を胸に抱いているのである...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「餓えた人々(習作)」
...一心に憧憬(あこが)れ願っていた心情がハッキリと首肯(うなず)かれる訳で...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...心は反対に稲穂の健康さに憧れるのである...
横光利一 「欧洲紀行」
...切支丹遺跡探訪から得た異国情調に対する憧憬は...
吉井勇 「老境なるかな」
...彼らの持ち得る最高の憧憬に答えるものとして...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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