...」「ちっとも憚り様なことはありやしません...
泉鏡花 「女客」
...「塀和さん憚りですが貴方お茶を入れて持つて行つて下さいな...
高濱虚子 「俳諧師」
...「これで」といふ意味は「憚りながら江戸ですぜ」という得意の心持か...
竹久夢二 「砂がき」
...将軍家其礼を憚り給ふの処...
太宰治 「右大臣実朝」
...女はその時までなお扇をかざしていたが、「憚りながら、もうわたくしのものにおなりになったのですよ...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...又權勢の大なるに其目曳かれて憚りて劣れる者を取る勿れ』しかいふ彼は金髮のメネラオスのため憂ふ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...閣下の最も憚りたる西郷黨を殘滅して...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...何の気兼も憚りもない遊び相手にしていたのです...
豊島与志雄 「香奠」
...何の憚りもなく好奇心もなく...
豊島与志雄 「土地に還る」
...下男の身分で憚りもなく...
豊島与志雄 「碑文」
...そこに、道有り、作法有り、不義は御家の法度(はっと)とやら、万一そういうことがしったい致しました時には、憚りながら、ぽんぽんながら、この良庵が捨ておきませぬ...
直木三十五 「南国太平記」
...憚りながらこの通り...
中里介山 「大菩薩峠」
...殺さずに済ます工夫もあったろうに――」平次は駕籠の方を憚りながら言うのでした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...憚りながらこの点をちょっと申し添えておきます」と言い終った時...
久生十蘭 「魔都」
...するてえと、これはどういうことになるんです」ハッチソンは車に頬杖をついて考え耽っているようだったが、何を思いついたか急に喉声を立てて笑い出し、「それはそうと、印東の旦那、山木の窮命の件ですが、憚りながら、このハッチソンがその結末を洞察してみましょう...
久生十蘭 「魔都」
...感冒の猖獗日に増して」と必ず卦紙一二枚は時候見舞と「憚りながら拙宅一同も無事消光つかまつり居り候故偏へに御休心下され度候」といふ慇懃な御挨拶です...
牧野信一 「月あかり」
...憚りながら唐音もじりなんぞとは種が違うんだ...
山本周五郎 「新潮記」
...憚りながらこれでも辻駕を担いでまっとうに食ってるんだから...
山本周五郎 「長屋天一坊」
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