...憚りながら口幅ってえ事が云える義理かい...
有島武郎 「かんかん虫」
...半ば崩れた牡丹は又一瓣をほろりと飜して妖艶の癡態を憚りも無く見せつけてゐる...
高濱虚子 「俳諧師」
...あたりのテーブルを憚りながら...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...憚りなく談笑してる一群が...
豊島与志雄 「傷痕の背景」
...憚りながら五十銭もする米の飯を食っているんだ!」「よせよ...
豊島与志雄 「掠奪せられたる男」
...憚りさまやら、茶ばかりさん」源公が、湯呑を二つ両手にもって、店の間へ出た...
直木三十五 「南国太平記」
...そこに、道有り、作法有り、不義は御家の法度(はっと)とやら、万一そういうことがしったい致しました時には、憚りながら、ぽんぽんながら、この良庵が捨ておきませぬ...
直木三十五 「南国太平記」
...二本差っ、大の男のくせに、あっちいくっついたり、こっちいくっついたり、昨日まで、公方様の家来であったくせに、今日は寝返りを打ったり、憚りながら、富士春は、意地ってことを、知ってるよ――いい加減なことを云って、休之助め、京女郎と、ふやけくさって、間男が、何んだい――手前勝手な」浪人達は、初めて見た富士春の酔態に、持て余しながら「師匠、先に寝たら、何うじゃ」「人のことを、かまう柄かい...
直木三十五 「南国太平記」
...憚りながらこの通り...
中里介山 「大菩薩峠」
...それに、憚りながら、この兄さんは足が少々達者でしてね、飛騨の高山であろうと、越中の富山であろうと、ほんの少々の馬力で、御用をつとめますから、その方もまあ御安心くださいまし」「いったい、高山のどこへ預けて来たんですよ」「こうなっちゃ、すっかり白状してしまいますが、あの宮川通りの芸妓屋(げいしゃや)、和泉屋の福松という女のところへ、確かに三百両預けて参りました」「あの福松に――憎らしい」お蘭どのは、どうした勘違いか、がんりきの膝をいやッというほどつねり上げたから、「あ痛! 何をしやがる」と、百の野郎が飛び上ったのは当然です...
中里介山 「大菩薩峠」
...この節は女の子の相場も高くなったよ」「そんな間抜けなものは要らねえ――憚りながら...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...『憚り乍ら金に絲目は附けねエ――』とやるところでしたが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...五十兩ありや憚り乍ら閻魔(えんま)の廳が素通りだ」「默つて居ろ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...憚りながら盜られるものなんかありやしません」「で...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...憚り乍ら湯文字まで御禁制の絹だよ...
野村胡堂 「礫心中」
...そして、憚りなく云へば、ロチスターさまはあなたがお氣に召していらつしやるのですよ...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...甚く其處らを憚りながら...
三島霜川 「昔の女」
...辺先生に業を求めんとするに人間が我を懼(おそ)るるを憚り...
南方熊楠 「十二支考」
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