...私の甥はあたかも他聞を憚(はばか)るように...
芥川龍之介 「邪宗門」
...憚樣(はゞかりさま)やとばかりに...
泉鏡花 「怪談女の輪」
...高い司令官の位置に推薦して憚らなかったということは...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...春琴の死後佐助がてる女を唯一(ゆいいつ)の話相手とし折に触れては亡(な)き師匠の思い出に耽(ふけ)ったのもそんな関係があるからである後年彼は検校となり今は誰(だれ)にも憚(はば)からずお師匠様と呼ばれ琴台先生と云われる身になったがてる女からは佐助さんと呼ばれるのを喜び敬称を用いるのを許さなかったかつててる女に語って云うのに...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...誰に憚(はゞか)るところもないのだが...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...こんなことを曰ふのは憚るべき次第かも知れぬが...
土井晩翠 「新詩發生時代の思ひ出」
...もうこの面(つら)は東海道の風にゃ吹かせられねえ――憚(はばか)りながら...
中里介山 「大菩薩峠」
...米友にさえ聞かすことを憚(はばか)り怖れていたが...
中里介山 「大菩薩峠」
...肩を並べ伏眼加減に人眼を憚りつつ足早やに歩み去る二人の跡を...
西尾正 「陳情書」
...「あれ」それは四方(あたり)を憚(はばか)る小さい小さい声でした...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...源吉との恋の遊戯を憚(はばか)りもなく続けました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...憚(はゞか)り乍らあつしが大きな聲を出せば御門前に待たして置いた...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...裏から入らう」門や破風(はふ)や玄關はさすがに憚(はゞか)つて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...するてえと、これはどういうことになるんです」ハッチソンは車に頬杖をついて考え耽っているようだったが、何を思いついたか急に喉声を立てて笑い出し、「それはそうと、印東の旦那、山木の窮命の件ですが、憚りながら、このハッチソンがその結末を洞察してみましょう...
久生十蘭 「魔都」
...嫉妬云々の俗評を憚りて萎縮するが如き婦人畢生の恥辱と言う可し...
福沢諭吉 「新女大学」
...あたりを憚るように宇之吉が訪ねて来た...
山本周五郎 「追いついた夢」
...京へ憚(はばか)って手が出せなかったのです...
山本周五郎 「夜明けの辻」
...この順序を研究しただけでもこの事件の真相はあらかたわかるという……この点に就ては憚(はばか)りながら...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
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