...色のさめた水干に、指貫(さしぬき)をつけて、飼主のない尨犬(むくいぬ)のやうに、朱雀大路をうろついて歩く、憐む可き、孤独な彼である...
芥川龍之介 「芋粥」
...一言の憐憫(れんびん)の言葉もかけはしなかった...
海野十三 「国際殺人団の崩壊」
...可憐なお便りである...
太宰治 「散華」
...彼女の憐愍(れんびん)を買うに充分だったのだ...
谷譲次 「踊る地平線」
...憐みを乞う心との...
直木三十五 「南国太平記」
...否、それよりも以前に、私は自分を自分で笑つた、憐んだ、悔んだ、そして責めた...
中沢臨川 「愛は、力は土より」
...恐ろしい病気に罹(かか)った憐(あわれ)な若い女とを...
夏目漱石 「行人」
...自分はその憐れな物語に対する同情よりも...
夏目漱石 「行人」
...志津子夫人の憐れな両親を苦しめ始めた時...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...その新田藩中一等の憐れな侍が...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...筵で閉(ふさ)いだ鳥の巣のように憐れな自分の家を眺めて...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...可憐(かれん)になつかしく感じさせる作である...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...同情や憐愍と云ふ言葉にも嵌り切らない...
葉山嘉樹 「万福追想」
...憐(あわれ)むべき愚民であります...
原民喜 「壊滅の序曲」
...冥土の神さまが憐れんでしばしの暇をたまわり...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...世間から不幸な人におなりになったことを憐(あわ)れまれるのを苦しく思っておいでになるのであろうと思う同情の念がいつかその方を恋しく思う心に変わってゆくのをみずから認めるようになった大将は熱心に宮の御近状などを御息所に尋ねていた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...その飼主はその猿を憐んで...
山本宣治 「猿の演説」
...すぐお覚えなされましたのう」「可憐だった...
吉川英治 「私本太平記」
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