...さて人々の憐を垂れてわが即興詩人となることを許されんを願ひぬ...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...女として姙娠といふ特別な約束に結ばれる自然の現象に對して、怒つてよいか、憐んでよいか、笑つてよいか、泣いてよいか解らぬといふやうに考へて、もしかすると其いづれもであつたかもしれない心の感慨を、書いても書いても書き盡せぬといふやうに思つてゐたらしい...
今井邦子 「水野仙子さんの思ひ出」
...榎本は憐愍に堪えぬという目差しで一同を見渡して...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...津軽人の愚直可憐...
太宰治 「津軽」
...一種皮肉な憐(あわ)れみをもって遠くからながめるのは...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...親猫の悲歎は見るも憐れだった...
豊島与志雄 「猫」
...一刻も早く同類相憐(あいあわれ)むの間柄になりたい...
夏目漱石 「野分」
...下宿の菜(さい)の憐れにして芋(いも)ばかりなるはもとより知る...
夏目漱石 「野分」
...曲は暫く可憐な明朗な第一主題と...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...彼等は、純粋な憐みと、純粋な憤りとの、混合酒に酔っ払った...
葉山嘉樹 「労働者の居ない船」
...今の内に些(ちっ)と覚悟をして置かなくッちゃアなりませんヨ』と私が先へ寄ッて苦労させるのが可憐(かわい)そうだから為をおもって言ッて遣りゃアネ文さん...
二葉亭四迷 「浮雲」
...言いようもなく情けながって泣いている女王が可憐(かれん)で...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...痛い牛皮(うしのかは)の靴の中に可憐な小さい足は冬は皹れてゐた...
室生犀星 「愛の詩集」
...コゼツトは「可憐」と云ふ心持をお人形様のやうにして見せた...
室生犀星 「愛の詩集」
...それが出来るか出来ないかは別としても今に憐み合うような日の来るのを待つのは不快だった...
横光利一 「旅愁」
...周瑜の心事を憐み給い...
吉川英治 「三国志」
...見てをればいかにも可憐である...
若山牧水 「秋草と虫の音」
...一層この池を優しいもの可憐なものに見せているのだ...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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