...」兄は憎体(にくてい)に云ひ放つたなり...
芥川龍之介 「雛」
...と空嘯(そらうそぶ)いて毛脛(けずね)の蚊をびしゃりと叩く憎体面(にくていづら)...
泉鏡花 「活人形」
...少シ憎体(にくてい)ニ見エルクライニ...
谷崎潤一郎 「瘋癲老人日記」
...お峰ちやんは怖い顔をして睨めておいてほーれ草をぶらさげたまま帰つてゆくのでいつけられはしまいかとこはごは見送つてたらひよいとふりかへつて憎体(にくてい)にをつきだしてかけていつた...
中勘助 「銀の匙」
...それを烏がねらつてきて憎体(にくてい)に尻をふつてつつつきまはる...
中勘助 「銀の匙」
...言うことは恐ろしく憎体(にくてい)です...
野村胡堂 「大江戸黄金狂」
...この小柄なくせに妙にませた憎体(にくてい)なくせに何処(どこ)か可愛らしい小僧だったことを思い出しました...
野村胡堂 「大江戸黄金狂」
...紛れもなく浪人森右門の五十がらみの憎体(にくてい)な顔だったのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...いっこう憎体(にくてい)にならないのが不思議...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...憎体なものの言いかたも...
久生十蘭 「あなたも私も」
...可愛げのない憎体な面がまえをしている...
久生十蘭 「春の山」
...土蔵(ぬりごめ)のなかにひっこんでいるがよかろう」と憎体(にくてい)に罵った...
久生十蘭 「ひどい煙」
...好くもこう憎体(にくてい)な連中だけが寄集って自惚事を喋(しゃべ)り合っているものだ...
牧野信一 「鬼涙村」
...指先を憎体な熊手のやうに曲げて凝つと...
牧野信一 「冬の風鈴」
...ギョロリとして青味がかった憎体(にくてい)な顔が...
正岡容 「寄席」
...其の小野川の憎体をいふよりも谷風の敬愛さるゝ反照と見ることが出来るのである...
三木貞一 「初代谷風梶之助」
...ましては昨夜急に自分が立つ動機となったあのお金の憎体な云い振り...
宮本百合子 「栄蔵の死」
...お関は尚憎体な笑をたたえて...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
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