...羨しいような小憎らしいような感情が起ってきた...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...朋輩が「よせったら――お春さん、暫く、黙って」「ええ、でも、憎らしい、まるで人を、夜鷹かなんぞのように――」「夜鷹? 手前なんざ、夜鳶(よとんび)だ、河童の屁玉に、のら猫だ」「お上手で、恐れ入りやす」益満が、笑った...
直木三十五 「南国太平記」
...ほんとに憎らしい野郎共だ」米友は口の中でブツブツ言って...
中里介山 「大菩薩峠」
...さっきは、富士山の後ろの方から面(かお)を出したから、たしか、あの辺にいるのかも知れません」「富士山の後ろって、お前……そんなお前、広いことを言っても、わかりゃしないじゃないの」「ああ、弁信さんに羽が生えて、この海を渡って、飛んで来てくれるといいなあ」「弁信さんて、そんなにいい人なの、憎らしい、弁信坊主――」といって兵部の娘は、海を隔(へだ)てて罪もない富士山を睨(にら)みました...
中里介山 「大菩薩峠」
...急に憎らしいといふ氣もしなかつた...
長谷川時雨 「日本橋あたり」
...誰も彼も憎らしい奴ばかりなり...
林芙美子 「新版 放浪記」
...突破しろ!轟け! 幾万の歌声――響け! 強力な跫音――ええ涙ぐんでる奴は誰だ!兄弟! 小憎らしい程嬉しい日だよ...
波立一 「五月一日」
...憎らしいという気持は起きない...
久生十蘭 「だいこん」
...ほんとに憎らしいことねえ...
久生十蘭 「魔都」
...実に憎らしい奴もあればあるものと...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...憎らしい!」父はたゞ笑つてゐた...
牧野信一 「池のまはり」
...憎らしい口の中へ拳骨を叩き込んだら...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「なぐり合い」
...あの生(い)け憎らしい...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...憎らしいと互に思う気持だけがあるとき閃きあっているのが分るという心理...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...ただ今までもお構いはしませんでしたが、近い所にいるうちはいつでもお力になれる自信がありましたので」と体裁よく言(こと)づてて誘いかけるのも、女王が聞き入れないから、「まあ憎らしい...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...賢そうに不動の陀羅尼(だらに)を読んで印を組んでいるようなのも憎らしいがね...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...かっちゃんのしたことでかっちゃんを憎らしいとも思いませんし...
山本周五郎 「季節のない街」
...おりんさん」「憎らしい...
吉川英治 「江戸三国志」
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