...我等が藝術の製作に際して顧慮することを要するものは固より社會でも民衆でもなくて...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...馬車は遠慮なくガタガタと馳せて行った...
大杉栄 「獄中消息」
...老(おい)の一徹短慮に息卷(いきま)き荒(あら)く罵れば...
高山樗牛 「瀧口入道」
...何も遠慮することあらしまへん...
近松秋江 「霜凍る宵」
...『遠慮めされ(leave)士殿...
テニソン Tennyson 菅野徳助、奈倉次郎訳 「アーサー王物語」
...これはフィルムの上における速度の制限を考慮して...
寺田寅彦 「映画時代」
...かうなつては遠慮も無用と先(まず)は宗匠家元(そうしょういえもと)の心意気にて小説のつくり方いかがとの愚問に対する愚答筆にまかせて書き出すといへどもこれ元より具眼(ぐがん)の士に示さんとするものならず...
永井荷風 「小説作法」
...道庵先生はちっとも遠慮をしていない...
中里介山 「大菩薩峠」
...「あなたは、どちらからおいでになりましたの」「関の大谷風呂に暫く逗留しておりました」「お国はドチラですの」「東国の方ですがね、諸所方々をフラつきましたよ」「お目がお悪い御様子ですが」「はい、目がつぶれてしまいましてね、つまり天罰というやつなんですよ」「どうして、そういう目におあいになりましたの」「十津川の騒動の時にやられました」「ああ、あの天誅組(てんちゅうぐみ)の騒動に、あなたもお出になりましたか」「はい、十津川では天誅組の方へ加わりました、中山卿だの、それから松本奎堂(まつもとけいどう)、藤本鉄石なんていう方へ加わりました」「まあ、それは頼もしい、天朝方でございますね」「なあに、頼もしく入ったんじゃありませんよ、頼まれたもんですからツイね、つまり、人生意気に感ずというわけなんでしょう」「その前は、どちらに」「その前は壬生(みぶ)におりました」「まあ、壬生浪(みぶろう)……」「恐れるには当りませんよ、これもふとした縁でしてね、好んで新撰組に加わったわけじゃありません」「では、あなたはずいぶん、お手が利(き)いていらっしゃるのね」「剣術が少し出来るんでね、まあ、それで身を持崩したようなものです」「よくまあ、でも、その御不自由なお身体(からだ)でねえ」「こんな不自由な身で生きているというのが不思議なんです、いいや、不思議なんて、そんな洒落(しゃれ)たことではないです、恥さらしなんです、業さらしなんです、まあ普通の良心を持っている奴なら、とっくに、どうかしてるんですがね、こんな奴は、天がなかなか殺さないんです、つまり、なぶり殺しなんですね、あっさりと殺してしまうには、あんまり罪が深い」「そんなことはありませんよ、自暴(やけ)におなりになってはいけません、あなたなんぞは、お若いに、これからが花ですよ」「ふーん、これから花が咲くかなあ」「咲かなくって、あなた、どうするもんですか、わたしなんぞごらんなさい、ことし、幾つだと思召(おぼしめ)す」「左様、女の年というものは、若く言って叱られる、老(ふ)けて言うと恨まれる、当らんものだなア」「当ててごらんなさいよ、あなたはお目が見えないから、皺(しわ)がわからないので、それで有難いのよ」「ふん、当ててみましょうか」「当ててごらんなさいましよ、御遠慮なく、お世辞でなく、正直な判断を聞かせて頂戴」「ふーん、鬼頭天王のおばさんと、ほぼ同格かな、あれより少し若いかな」「鬼頭天王のおばさんというのは、どなた?」「うん、いや――拙者の伯母(おば)なんだが」「その伯母さん、お幾つ?」「そうさなあ、四十……」「それで、わたしは?」「それより、若いかなあ」「有難う」「何でお礼を言います」「有難う」「年を言って、お礼を言われるはずはないのだが」「言ってみましょうか、わたしの本当の年を」「おっしゃってみて下さい」「酉(とり)の五十三――七月生れよ」「ははあ、五十三」「いいお婆さんでしょう、四十幾つかに見られて嬉しい、ついでに、わたしの人柄を言ってごらん下さい」「人柄とは?」「どんな衣裳をつけて、そうして、何を商売にしていますか、それを当ててみてごらんなさい」「拙者は卜(うらない)を稽古して置かなかった...
中里介山 「大菩薩峠」
...案内の人は、こういう俗化したところで、と遠慮されたが、大都市の近郊の名勝地で、この浜程度の俗化ならば、まず褒めてよい...
中谷宇吉郎 「桂浜」
...こういう事実は全然考慮にはいっていない...
中谷宇吉郎 「亡び行く国土」
...現在を慮(おもんばか)りて...
福田英子 「妾の半生涯」
...文学に関心をもつ者の心に真摯な考慮を呼びさまさずにはいない...
宮本百合子 「明日の言葉」
...(c)それらの無遠慮を非難する者こそ...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...宿禰は憂慮に悩んだ顔をして...
横光利一 「日輪」
...誰も遠慮はねえ家だから...
吉川英治 「江戸三国志」
...遠慮なく指摘してもらいたい」と...
吉川英治 「三国志」
...敵の思慮の及ばぬ所に備えをするのでなければなりません...
吉川英治 「新書太閤記」
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