...慥かに手古奈の心はどうでもよいと言ふが如き冷かなものではないのだ...
伊藤左千夫 「古代之少女」
...しかし慥かに大勢の人の頭(かしら)になれる...
坪内逍遙 「斎藤緑雨と内田不知菴」
...慥かに(evidently)人の見やうは知らない...
テニソン Tennyson 菅野徳助、奈倉次郎訳 「アーサー王物語」
...慥かに、民衆は祭政一致論議の霊的儀式には感動しなくても、世俗生活の物的利害には動くものだと、政府は初めて見て取ったらしい...
戸坂潤 「社会時評」
...かつては公式主義という鞭の言葉には慥かに或る真実があった...
戸坂潤 「ひと吾を公式主義者と呼ぶ」
...それは慥かに、良いにつけ悪いにつけ、大学のお蔭である...
戸坂潤 「私の見た大学」
...然かし足利時代は慥かに銀色である...
原勝郎 「足利時代を論ず」
...「慥かにこれ位はありましたよ!」「どうぞ食卓(テーブル)にお就きになつて下さい!」と...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...この土地では松が育たないそうで、それは「堀の三本松が一本だけにされた報い」だともいわれているが、慥かに、芳爺さんの家に近い、堀端にある老松のほかに松らしい松は一本もみあたらなかった...
山本周五郎 「青べか物語」
...役所でもかなり仕事がしやすくなりました」「慥かにそうのようですな...
山本周五郎 「いさましい話」
...「――それに違いないわ、慥かに、……自分では気がつかなかったけれど、心ではちゃんと感じていたのよ、だから自然と口に出たんだわ、自然と、……でなくって泰三さんがあんなにばかげたような粗忽をするわけがないじゃないの、……そうだったんだわ、今こそはっきりわかったわ」津留は衝動的に両手で顔を掩(おお)い、お可哀そうな泰三さん、と心のなかで呼びかけながら声を忍ばせて啜(すす)り泣くのであった...
山本周五郎 「思い違い物語」
...慥かにおすえの声だ...
山本周五郎 「さぶ」
...慥かに常識はずれであった...
山本周五郎 「契りきぬ」
...慥かに覚えのある顔だ...
山本周五郎 「ひとごろし」
...眼の誤りではない、慥かに、現実に、彼女はその情景を見たのであった...
山本周五郎 「風流太平記」
...そうでしたね」慥かに...
山本周五郎 「風流太平記」
...慥かに、承諾の返辞をしたあとでは、ながいあいだの精神的緊張から解放されたかのように、静かに心のやすらいだのを覚えている...
山本周五郎 「めおと蝶」
...「さようなことがあるわけはございません」「慥(たし)かにか」「慥かに...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
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