...軟水を飲むのに慣れた多くの動物は硬水を拒否する...
フレデリック・アークム Fredrick Accum 水上茂樹訳 「食品の混ぜ物処理および調理の毒物(1820)」
...先づ誰が見ても世慣れた記者の筆だ...
石川啄木 「我等の一團と彼」
...又日頃罵声やヴァイオリンの恐怖音に慣れた彼女ではあったが...
江戸川乱歩 「江川蘭子」
...先づ一服といふところで不断かけ慣れた廻転椅子に腰を下し煙草をくゆらしはじめたものの...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...然もそれに慣れたる日本人は世に変化あり...
津田左右吉 「流れ行く歴史の動力」
...右手のほうでひいているメロディだけを聞くとそれは前から耳慣れた「春の歌」であるが...
寺田寅彦 「春寒」
...その図抜けた唄の主の首実検(くびじっけん)をしなければならないほどに聞き慣れた声でもありませんでしたから...
中里介山 「大菩薩峠」
...専門家こそ乗合わせていなかったが――道庵先生の如き専門家が居合わせなくてかえって幸い――物に慣れた人から完全に生き返ることを保証されて...
中里介山 「大菩薩峠」
...「あッ死んでいる」薄暗い浴槽の中ですが、慣れた眼には、たった一と目で、その中に若い女が、俯(うつむ)きになって、上半身を沈めているのが判ったのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...汁粉屋へ入ることを雁江は慣れた...
原民喜 「滑走」
...住慣れた大阪の市街が全く知らぬ他国の都会の様に...
平出修 「逆徒」
...慣れたることは容易に改め難きものなり...
福沢諭吉 「学問のすすめ」
...慣れたる物を善といひ...
福澤諭吉 「肉食之説」
...煙りを吐く汽車に乗り慣れたので...
牧野信一 「熱海線私語」
...それは彼れが日本の地で持ち慣れた横笛を故郷の母へ無事に送り...
松永延造 「ラ氏の笛」
...これまで観(み)なれ、聴き慣れた、科白(せりふ)、仕ぐさとは、全く類を異にした、異色ある演技に魅惑された江戸の観客たちは、最初から好奇心や、愛情を抱いて迎えたものは勿論(もちろん)、何を、上方の緞帳(どんちょう)役者がと、高をくくっていた人達までも迫力のある魔術のために陶酔境に引き込まれて、われを忘れて、手を拍ち、声を揚げずにはいられなかった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...事に慣れた老婆の言を信じ切って...
南方熊楠 「十二支考」
...とにかく慣れた道をおたどりになる方がよろしいでしょう...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
便利!手書き漢字入力検索