...正岡子規が平家物語のなかの宇治川のくだりを詠んだ歌にぬばたまの黒毛の駒の太腹に雲解の波のさかまき來る飛ぶ鳥の先きをあらそふもののふの鐙の袖に波ほとばしる宇治川の早瀬よこぎるいけじきの馬の立髮浪こえにけりなどいふ傑作を私は常に愛誦してゐるのである...
今井邦子 「雪解水」
...漢詩愛誦家の中にはママ諳んずるものもあるが...
内田魯庵 「八犬伝談余」
...萬里泊舟天草洋といふ詩の句が何故か頻りに愛誦さるるといつて返事を出した...
高濱虚子 「俳諧師」
...私の反復愛誦したものであるから...
太宰治 「惜別」
...「無門関」を愛誦(あいしょう)していた...
田中英光 「野狐」
...わたしはかつて愛誦(あいしょう)した『春濤詩鈔(しゅんとうししょう)』中の六扇紅窓掩不レ開――妙妓懐中取レ煖来という絶句を憶(おも)い起すと共に妓(ぎ)を擁(よう)せざるもパンを抱いて歩めばまた寒からずと覚えず笑を漏らした事もあったほどである...
永井荷風 「雨瀟瀟」
...愛誦してゐたとはいへないでも...
長谷川時雨 「吾が愛誦句」
...また秘かに繰返して愛誦してゐるものである...
牧野信一 「坂口安吾君の『黒谷村』を読む」
...いつでもこの詩が愛誦されたときだった社会主義リアリズムをはな/″\しく引っさげて打って出た時は皮肉にも彼が実にリアルに沈滞した時だっただが彼の沈滞は一九〇五年のベードヌイ以上ではないさすらい人めいた述懐がちらつこうと常に中国人民に詩と情熱をそそいでいる森山でなければならぬ...
槇村浩 「人民詩人への戯詩」
...あんなに愛誦されている世の中にあの記録的な「松ヶ鼻の渡し」の闘いを...
槇村浩 「田木繁に」
...後の二首は純主觀にて共に愛誦する所に有之候...
正岡子規 「歌よみに與ふる書」
...共に愛誦(あいしょう)する所に有之候...
正岡子規 「歌よみに与ふる書」
...なんぞ予をして我が愛誦の書を燒かしむるが如き愚かしき事をし給はんや...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...あなたはこの頃どの詩を御愛誦でしょう...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...なじみ深い愛誦の詩をまた再び声を合わせ格調を揃えて読もうとする気持は何にたとえたらいいでしょう...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...愛誦の詩の中から目醒めるということもあり...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...次の詩句はあなたが愛誦せられるに値します...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...もう一度いひますと、豆を煮るに豆の豆がらをたく相煮ることの何ぞ急なる釜中の豆ふつ/\泣く元これ同根より生ずるを私はこの詩が好きで、いつも愛誦し、そして、そのたびに、私は思ふのだが――今日の文化の中に生き、お互ひ近代人といひ科學生活を享受し、さらにはモラルを持つてゐるともいつてゐる...
吉川英治 「折々の記」
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