...一特長ある詩ならば日夕愛誦に資するに躊躇せずと...
石川啄木 「閑天地」
...正岡子規が平家物語のなかの宇治川のくだりを詠んだ歌にぬばたまの黒毛の駒の太腹に雲解の波のさかまき來る飛ぶ鳥の先きをあらそふもののふの鐙の袖に波ほとばしる宇治川の早瀬よこぎるいけじきの馬の立髮浪こえにけりなどいふ傑作を私は常に愛誦してゐるのである...
今井邦子 「雪解水」
...「無門関」を愛誦(あいしょう)していた...
田中英光 「野狐」
...更に驚いた事は其室のどこにも暗い蔭がなくそこに居る誰の顏もが晴れやかであつた事である云々』それから照は自分の葬式の爲に愛誦の讃美歌をえらびました...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
...わたしはかつて愛誦(あいしょう)した『春濤詩鈔(しゅんとうししょう)』中の六扇紅窓掩不レ開――妙妓懐中取レ煖来という絶句を憶(おも)い起すと共に妓(ぎ)を擁(よう)せざるもパンを抱いて歩めばまた寒からずと覚えず笑を漏らした事もあったほどである...
永井荷風 「雨瀟瀟」
...柿もぐと樹(き)にのぼりたる日和(ひより)なりはろばろとして背振山見ゆこの歌は川久保の秋を歌った作の中で一番よく私の知人達に愛誦されるのであるが...
中島哀浪 「かき・みかん・かに」
...また秘かに繰返して愛誦してゐるものである...
牧野信一 「坂口安吾君の『黒谷村』を読む」
...いつでもこの詩が愛誦されたときだった社会主義リアリズムをはな/″\しく引っさげて打って出た時は皮肉にも彼が実にリアルに沈滞した時だっただが彼の沈滞は一九〇五年のベードヌイ以上ではないさすらい人めいた述懐がちらつこうと常に中国人民に詩と情熱をそそいでいる森山でなければならぬ...
槇村浩 「人民詩人への戯詩」
...あんなに愛誦されている世の中にあの記録的な「松ヶ鼻の渡し」の闘いを...
槇村浩 「田木繁に」
...吉井勇イミテーションの私の短歌を愛誦して...
正岡容 「わが寄席青春録」
...我駒の沓(くつ)あらためん橋の霜 湖春これも愛誦せし一句なり...
正岡子規 「俳句の初歩」
...その父の命によりて庭前に愛誦の書一切を燒き捨てたる少年俊雄をわれ自らなりと思ひし人ありしが誤れる事甚だし...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...なんぞ予をして我が愛誦の書を燒かしむるが如き愚かしき事をし給はんや...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...今日もなほデンマルクの國歌として愛誦せられてゐる『クリスチャン王は高き帆柱に近く立つ』Kong Christian stod ved hoje Mast や...
宮原晃一郎 「スカンヂナヴィア文學概觀」
...なじみ深い愛誦の詩をまた再び声を合わせ格調を揃えて読もうとする気持は何にたとえたらいいでしょう...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...次の詩句はあなたが愛誦せられるに値します...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...愛誦措かなかったものである...
吉川英治 「随筆 新平家」
...青年時代のそうした愛誦書なども...
吉川英治 「随筆 新平家」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??