...その愚かしい愛人のために...
太宰治 「古典風」
...その人が愚かしい人だから愚問を連発するというわけではない...
太宰治 「散華」
...あのまわりに集ってぼんやりそれを見物している民衆の愚かしい顔が...
太宰治 「惜別」
...またぞろ腑甲斐なくも父の遺産を捧げて平伏してしまうであろう自分の愚かしい心が――最早自分にはどうすることもできぬ私自身の気持が...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...戦艦大和にへばりついたまま水底に沈んで死んだ愚かしい悲劇が...
田中英光 「さようなら」
...こんなことも考えた――この態度の中には自分のような愚かしい道心に対する...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...虫より劣った愚かしい無能な人間が...
豊島与志雄 「一つの愛情」
...それを愚かしいと思うが――」牧は...
直木三十五 「南国太平記」
...ただ今申した家老の愚かしいのにも任せておけまい...
直木三十五 「南国太平記」
...肥ってこそいたが、うす汚い、愚かしい顔付の、平凡な島民の子である...
中島敦 「環礁」
...意味も目的も無い・まじりけの無い惡意だけがハツキリ其の愚かしい顏に現れてゐる...
中島敦 「環礁」
...どうかすると、その街が何ごともなく無疵(むきず)のまま残されること、――そんな虫のいい、愚かしいことも、やはり考え浮ぶのではあった...
原民喜 「壊滅の序曲」
...安らかな、すこし微笑んでいるような死顔だったそうで……ほとんど一生を唯一人の人に想い入って、その他のことを思うことのできなかった男、そういう事に男の一生をかける事が、幸福であるか不幸であるかさえも考える余裕もなく、その生涯を泣き暮し、しかもその晩年に於ては始終明るくニコニコと頬笑んでばかりいて、もうピタリと泣かなかったそうですが……そういう、愚かしい、むやみと手の大きかった男――そういう男が私の手の下の石の下に眠っているのだ、と、そう思ったのです...
三好十郎 「樹氷」
...愚かしい行動をしたと煩悶(はんもん)をしているのである...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...あの仲人(なこうど)の口車に乗せられた守の言っているのも愚かしい限りであった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...わたしはむしろ空なこと・愚かしいこと・でも...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...そんな愚かしい反抗をいつまで続けるんです...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...痴者の夢よりもまだ愚かしい...
吉川英治 「三国志」
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