...まあそんなことをね(意味ありげに)それから...
ヘンリック・イブセン Henrik Ibsen 島村抱月譯 「人形の家」
...「都合よくね」明智は意味ありげな調子だった...
江戸川乱歩 「一寸法師」
...御見知り越しの人物でございましょうか」警部が意味ありげに尋ねる...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...サーちゃんは意味ありげな微笑を残したまま...
高見順 「如何なる星の下に」
...意味ありげに見せかけてゐるとしか思はれず...
太宰治 「郷愁」
...「久し振りね、実に、久し振りね、夏にも来てくださらなかったしさ、それから、春にも来てくださらなかったしさ、そうだ、ひどいひどい、去年の夏も来なかったんだ、なあんだ、貞子が卒業してから一回も吉田へ来なかったじゃないか、ばかにしてるわ、東京で文学をやってるんだってね、すごいねえ、貞子を忘れちゃったのね、堕落しているんじゃない? 兄ちゃん! こっちを向いて、顔を見せて! そうれ、ごらん、心にやましきものがあるから、こっちを向けない、堕落してるな、さては、堕落したな、丙種になるのは当り前さ、丙種だなんて、貞子が世間に恥ずかしいわ、志願しなさいよ、可哀想に可哀想に、男と生れて兵隊さんになれないなんて、私だったら泣いて、そうして、血判を押すわ、血判を三つも四つも押してみせる、兄ちゃん! でも本当はねえ、貞子は同情してるのよ、あの、あたしの手紙読んだ? 下手だったでしょう? おや、笑ったな、ちきしょうめ、あたしの手紙を軽蔑したな、そうよ、どうせ、あたしは下手よ、おっちょこちょいの化け猫ですよ、あたしの手紙の、深いふかあい、まごころを蹂躙(じゅうりん)するような悪漢は、のろって、のろって、のろい殺してやるから、そう思え! なんて、寒くない? 吉田は、寒いでしょう? その頸巻(くびまき)、いいわね、誰に編(あ)んでもらったの? いやなひと、にやにや笑いなんかしてさ、知っていますよ、節ちゃんさ、兄ちゃんにはね、あたしと節ちゃんと二人の女性しか無いのさ、なにせ丙種だから、どこへ行ったって、もてやしませんよ、そうでしょう? それだのに、意味ありげに、にやにや笑って、いかにも他にかくれたる女性でもあるような振りして、わあい、見破られた、ごめんね、怒った? 文学をやってるんですってね? むずかしい? お母さんがね、けさね、大失敗したのよ、そうしてみんなに軽蔑されたの、あのね、――」とめどが無いのである...
太宰治 「律子と貞子」
...あんたみたいに綺麗かったら一緒に歩いててもちょうどええけど」いうて意味ありげに笑(わろ)てるさかい...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...父親と中年の男子に保護されて行く花の如き女学生を意味ありげに見送るものもあった...
田山花袋 「蒲団」
...世の中にこのくらい悲惨なものはないと言っていましたよ」と意味ありげに繰り返して話していた...
寺田寅彦 「B教授の死」
...兄さん」お秀は意味ありげに津田の顔を見た...
夏目漱石 「明暗」
...意味ありげのさびしい微笑をみせた...
萩原朔太郎 「散文詩・詩的散文」
...例の押印をすっかりお忘れのようですね」メリヘイブン閣下が意味ありげにつぶやいた...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「王冠の重み」
...アリックス皇太子を選ぶ」レックミア侍従が意味ありげに答えた...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「王冠の重み」
...意味ありげな顔を見て...
ルイザ・メイ・オルコット L. M. Alcott 水谷まさる訳 「若草物語」
...ニヤニヤと意味ありげな微笑を洩した...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...「どう? 何か変ったことないの?」意味ありげな顔つきをしている癖に...
宮本百合子 「刻々」
...意味ありげな眼(め)でちらちらと見た...
山本周五郎 「青べか物語」
...久木はなにか意味ありげに秀之進の顔をみつめていたが...
山本周五郎 「新潮記」
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