...智恵子はほのぼのと美しく清浄でしかもかぎりなき惑溺(わくでき)にみちてゐた...
高村光太郎 「智恵子抄」
...将軍家の御趣味に御惑溺の御日常が...
太宰治 「右大臣実朝」
...その惑溺(わくでき)の半分をすら...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...渠は性として惑溺(わくでき)することが出来ぬ或る一種の力を有(も)っている...
田山花袋 「蒲団」
...芳子の恋は更に惑溺(わくでき)の度を加えた様子...
田山花袋 「蒲団」
...衣食に苦しんでまでもこの東京に居るなども意味がありそうですわい」「それは恋の惑溺であるかも知れませんから善意に解釈することも出来ますが」「それにしても許可するのせぬのとは問題になりませんけえ...
田山花袋 「蒲団」
...そんなものに彼は陶酔し惑溺し...
徳田秋聲 「水ぎわの家」
...そこできわめて奔放自由な解放(エマンシペーション)に惑溺(わくでき)していたのであった...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...ほとんど惑溺(わくでき)するかと思うほどに...
中里介山 「大菩薩峠」
...青年時代の或る時期に私は(ヴィヨンの詩と共に)ファーガスンの詩に惑溺(わくでき)していた...
中島敦 「光と風と夢」
...耽美的な情緒に惑溺する時代を通り越した...
萩原朔太郎 「愛の詩集」
...虚誕妄説を軽信して巫蠱(ふこ)神仏に惑溺し...
福沢諭吉 「学問のすすめ」
...その惑溺をたくましゅうし...
福沢諭吉 「物理学の要用」
...ひたすらその城主の事蹟に就いての詳細な研究に惑溺する身と変つてゐた...
牧野信一 「熱い風」
...妻に惑溺(わくでき)しているように思ったりしているようです...
森鴎外 「蛇」
...金銀を借りては酒色に惑溺(わくでき)したり...
吉川英治 「三国志」
...又アラユル欲望ニ惑溺(ワクデキ)シテサメザルモノハ...
吉川英治 「親鸞」
...だからこそその立ち得ないことや惑溺を脱し得ないことが...
和辻哲郎 「孔子」
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