...が、その年増を――おばさん、と呼ぶでございましゅ、二十四五の、ふっくりした別嬪(べっぴん)の娘――ちくと、そのおばさん、が、おばしアん、と云うか、と聞こえる……清(すずし)い、甘い、情のある、その声が堪(たま)らんでしゅ...
泉鏡花 「貝の穴に河童の居る事」
...その内に眞實性があり熱情のある優れた婦人であつたに相違ないと私は思ひ至る...
今井邦子 「伊那紀行」
...「鶉の鳴声はなか/\風情のあるものぢや...
薄田泣菫 「茶話」
...同情のある聴き手も至つて稀で...
薄田泣菫 「独楽園」
...なかなか風情のある家が目についた...
田畑修一郎 「出雲鉄と安来節」
...美しい顔と云うよりは表情のある顔...
田山花袋 「蒲団」
...彼らはそれを人情のあることだとしている...
ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 「死刑囚最後の日」
...物珍しいまたかなり同情のある眼で...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...特別な事情のある者ででもなければ...
豊島与志雄 「変な男」
...僕等二人は世間の掟に叶(かな)う様な夫婦関係は結べないと云う意見だね」代助は同情のある気の毒そうな眼をして平岡を見た...
夏目漱石 「それから」
...その微動を同情のある夫の指頭(しとう)に伝えようとしたのである...
夏目漱石 「道草」
...同情のある慰めよりは...
北條民雄 「いのちの初夜」
...彼女は玄鶴にはお芳親子に同情のあるらしい素振りを示した...
堀辰雄 「芥川龍之介論」
...明が彼女の前に立ち現われたときから何かしら自分自身に佯(いつわ)っていた感情のある事を鋭く自覚した...
堀辰雄 「菜穂子」
...もっと十分書きつくせない事情のあるのが...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...松島を壓するといふ位風情のある景色であつたやうですが...
柳田國男 「潟に關する聯想」
...それが日本の先祖の愛情のある工夫なんじゃないかと...
横光利一 「旅愁」
...我々は非人情を呼ぶ声の裏にあふれ過ぎる人情のある事を忘れてはならない...
和辻哲郎 「夏目先生の追憶」
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