...悽慘として遲々たりや...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...悽惨(せいさん)として遅々たりや...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...甲板上に展開してゆくこの悽愴(せいそう)な光景に魅せられたように...
海野十三 「海底大陸」
...また悽愴(せいそう)なこの恋愛がいつまで続くかを考えるたびに...
徳田秋声 「仮装人物」
...異常に悽愴の氣を帶びてゐた...
萩原朔太郎 「芥川龍之介の死」
...次第に病ひのつのる事見る目も恐ろしきほど悽(すさ)まじき事あり...
樋口一葉 「うつせみ」
...人間の影にすぎない幽霊のような悽惨な姿で...
久生十蘭 「南極記」
...何か悽惨(せいさん)な感じの...
堀辰雄 「雪の上の足跡」
...当時の周囲から求められている女らしさとはまるでちがった悽愴な形で...
宮本百合子 「新しい船出」
...笑うにも笑えない……たしかに私を私と知っている確信にみちみちた……真剣な……悽愴(せいそう)とした……...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...悽愴(せいそう)を極めた状況...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...……勿体(もったい)なくもK(ケー)・C(シー)・MASARKEY(マサーキー)会社の超々特作と題しまして『狂人の解放治療』という、勿論、今回が封切の天然色、浮出し、発声映画と御座いまして、出演俳優は皆、関係者本人の実演に係る実物応用ばかり……稀代の美少年と、絶世の美少女を中心として、渦巻き起る不可解に続く不可思議、戦慄に続く驚異の裡(うち)に、二十余名の男女の血と、肉と、霊魂とがいつからともなく、どこからともなく卍巴(まんじともえ)と入り乱れて参りまして、遂にはこの「狂人解放治療場」に於て、悽惨、無残、眼も当られぬ結末を告げるか、告げぬかの際どいクライマックスに到達しようという……よろしく満腔の御期待をもって……【溶暗】……【字幕】 実母と許嫁(いいなずけ)と、二人の婦人を絞殺した怪事件の嫌疑者、呉一郎(くれいちろう)(明治四十年十一月二十日生)大正十五年十月十九日、九州帝国大学、精神病科教室附属、狂人解放治療場に於て撮影――【説明】 まず最初に御紹介致しまする、この事件の若い主人公……すなわち最前、小手調としてお眼にかけました十名の狂人の中でも、老人の畠打(はたうち)を見物致しておりました青年の、正面向きの大写しで御座います...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...能全体が見れば見るほど悽愴たる感じがして来る...
夢野久作 「実さんの精神分析」
...血刀を提げてクラ暗の中を見まわしているような悽愴たる感じが一パイに籠っていた...
夢野久作 「実さんの精神分析」
...やがて、谷間から、裏から表から、これへ犇々(ひしひし)近づいて来る敵の気はいを知ると、さすがに、膝を立て、太刀をつかんで、「来たっ――」「思い残すところなくやれよ」「いうまでもない」らんと、みな眼をかがやかし、はやくも、悽愴な気を、眉に、唇に示し合って、針鼠(はりねずみ)のように、体じゅうを硬めていた...
吉川英治 「上杉謙信」
...が、なかには刺しちがえて相擁(あいよう)すかのごとき形でことぎれているのもあり、悽惨、目もくらむばかりだが、しかしその一個一個は、自己を国に捧(ささ)げてくやまぬ犠牲の巌(いわ)のような死に徹している死顔を持ち、その血を以て、祈りを床に遺書しているような姿であった...
吉川英治 「私本太平記」
...悽愴(せいそう)...
吉川英治 「新書太閤記」
...佐野竹之介殿なども?)桜田のあの日の――同志の悽惨(せいさん)な顔つきが眼にうかぶ...
吉川英治 「旗岡巡査」
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