...だが非常に憔悴(しょうすい)していた...
海野十三 「西湖の屍人」
...顔は蒼白くむくんで憔悴のいろに蔽われていた...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...然し私は憔悴した顏を見ることは却て苦痛の種でありました...
長塚節 「教師」
...病氣はげしくなりいよいよ哀しくなり三日月空にくもり病人の患部に竹が生え肩にも生え手にも生え腰からしたにもそれが生えゆびのさきから根がけぶり根には纖毛がもえいで血管の巣は身體いちめんなりああ巣がしめやかにかすみかけしぜんに哀しみふかくなりて憔悴れさせ絹糸のごとく毛が光りますます鋭どくして耐へられずつひにすつぱだかとなつてしまひ竹の根にすがりつき...
萩原朔太郎 「竹の根の先を掘るひと」
...父は何も云わずにそんなお前の憔悴(しょうすい)し切った顔をじっと見守っていた...
堀辰雄 「風立ちぬ」
...「ヘンリーは死んでしまつたが、彼の忠実な悴は、丁度彼が、昔々、彼の妻子を棄てゝこの国を訪れて来た時の心に比べて、何の新しさも持たない僕が、斯うしてたつた今お前の国に着いたところだよ...
牧野信一 「「悪」の同意語」
...法でも犯したやうに打ち沈んで食卓に突ツ伏してしまつた悴に注意した...
牧野信一 「F村での春」
...茅場町の菓子舗伊勢屋の悴で其角同門其友の許へと嫁してゐる...
正岡容 「下谷練塀小路」
...更にその金を結納として悴(せがれ)可立のために呂月娥てふ十八歳の婦(よめ)を迎えた...
南方熊楠 「十二支考」
...大原の父母も鼻が高く一々来客に接して悴(せがれ)の事を吹聴(ふいちょう)する...
村井弦斎 「食道楽」
...夫が殆(ほとん)ど見ちがえるほど憔悴(やつれ)はてたのを...
室生犀星 「蛾」
...夏も妻もみんな一週間のまにすっかり憔悴(やつ)れてしまった...
室生犀星 「童子」
...「悴杏春儀は其節病気に付快気次第と被仰付候...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...ことに此度は悴事朝より出つづけにて...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...父の寝顔はすさまじいほど憔悴(しょうすい)してい...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...袁紹はいたく憔悴(しょうすい)していて...
吉川英治 「三国志」
...ついさっきまでの憔悴(しょうすい)は姿にもなかった...
吉川英治 「新書太閤記」
...三――どんなに惟悴(しょうすい)しておられるだろう...
吉川英治 「親鸞」
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