...別に辛くも悲しくもない...
石川啄木 「鳥影」
...悲しく思ひ――さう云ふはなしを俺にするからには...
武田麟太郎 「釜ヶ崎」
...今又かの和泉守のために我夫(つま)をまで失はんとするが悲しく侍りとて...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...彼は彼女の憂欝(いううつ)な気分を悲しく思つたが...
徳田秋聲 「或売笑婦の話」
...そして無頼の徒といい賤民といい愚衆といい下層民という侮辱的なそれらの言葉は、悲しくも、苦しむ者らの罪よりもむしろ統治する者らの罪を証し、零落者らの罪よりもむしろ特権者らの罪を証明する...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...与八はこれを見るとまた悲しくなって...
中里介山 「大菩薩峠」
...じれったそうに不愉快な顔をするたびに小夜子は悲しくなる...
夏目漱石 「虞美人草」
...悲しくなつて何処かへいつてしまつたのだらうか...
新美南吉 「良寛物語 手毬と鉢の子」
...この梅干船(この船は賄(まかない)が悪いのでこの仇名(あだな)を得て居た)が我最期の場所かと思うと恐しく悲しくなって一分間も心の静まるという事はない...
正岡子規 「病」
...娘の時代であったならとかえらぬ運命が悲しくばかりなって...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...お一人きりのお心細い御境遇が悲しく存ぜられまして...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...女二の宮はまして若い少女心(おとめごころ)にお心細くも悲しくも思い沈んでおいでになろうことを...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...そういふ人はわたしの向ふに坐つて扨てさまざまな物語りをしながらそれにも拘らずわたしを悲しくさせた...
室生犀星 「故郷を辞す」
...老い衰えていよいよ死ぬ時にはそう大して苦しくも悲しくもないであろう」...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...気の毒に思う以上に悲しくなった***...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...不審そうに自分の貌を見ていたが,「おやなぜ? 悲しくないことはありませんが,もウ父上(おとッさん)も帰らなければなりませんし……それにいろいろ……」言おうとして止め...
矢崎嵯峨の舎 「初恋」
...悲しくなったりするものだ...
夢野久作 「父杉山茂丸を語る」
...――彼女の傍へ寄つて、その年取つた顏に絶望の樣子を見ると、悲しく打たれて、それ以上口をきかうともしないで、引つ返して行くものもあつた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
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