...ああ、東京の町の音も全くどこかへ消えてしまう真夜中、涙に濡れた眼を挙げながら、うす暗い十燭の電燈の下に、たった一人逗子(ずし)の海風(かいふう)とコルドヴァの杏竹桃(きょうちくとう)とを夢みている、お君さんの姿を想像――畜生、悪意がない所か、うっかりしているとおれまでも、サンティマンタアルになり兼ねないぞ...
芥川龍之介 「葱」
...職員は初めから悪意がない...
永井隆 「この子を残して」
...とても助からなかったろう……悪意がないものなら...
久生十蘭 「あなたも私も」
...之を悪意がないと云つても...
平出修 「公判」
...悪意がないのに人殺しになったというような...
森鴎外 「高瀬舟縁起」
...そしてそれが食欲を進め消化を助け、我々に幾らかの新しい力をもたらすことは、悪意がない限り、誰も否定することができないのである...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
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