...痍(きず)に悩める胸もどき...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...悩める友を見舞わんと鈴打ち鳴らして進む光景は実に絶好の画題である...
内村鑑三 「ヨブ記講演」
...一切の悩める人たちの魂を救ってゆかねばなりません...
高神覚昇 「般若心経講義」
...官能の悩める時は心霊の快楽を追え...
谷崎潤一郎 「The Affair of Two Watches」
...彼もまた悩める一人だつた...
種田山頭火 「其中日記」
...しかし、悩める者は、時には絶望のあまり、おのれの絶望を慰みとすることがある...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...その青年らの謹厳な裸体、狩り出された獣のような荒くれた処女たち、悩める曙、子供に乳房(ちぶさ)をくわえられてる荒々しい眼つきのマドンナ、妻にもほしいような美しいリアなどを、彼はこの巨匠の愛と同じき純潔粗野な愛をもって愛した...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...遠く離れた静かな悩める男であって...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...わが胸よりほとばしり出る呼吸(いき)づかひ乙女の汚れなき吐息に打まじりてその悲しさはその心にひとしくそのやさしさはその響に同じく悩める身にのみ唯あきらかに聞えあきらかに通ずる無言の声...
永井壮吉 「偏奇館吟草」
...わが悩める額を押当(おしあつ)る時...
永井荷風 「夜あるき」
...歌姫――悩める駒鳥絹枝――は...
野村胡堂 「焔の中に歌う」
...悩める私の精神が眠りを取り戻し...
A. ブラックウッド A. Blackwood The Creative CAT 訳 「盗聴者」
...それはお母様のお心のうちにだけ在る私の悩める姿からなのです...
堀辰雄 「楡の家」
...相手の胸を悩めるが...
牧野信一 「小川の流れ」
...悩める大地のうめき声を...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「神の剣」
...露置きてくれなゐいとど深けれどおもひ悩めるなでしこの花 (晶子)炎暑の日に源氏は東の釣殿(つりどの)へ出て涼んでいた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...私のようにあなたも不運その口もとには人知れぬ無念さがたたえられじっと耐えた涙はひとみの輝きを消し動悸する胸は痛傷を潜ませてひみつ口をつぐんで苦痛に耐えつつも秘密は私たちの悩める心の底に憩うたとえ心の中で暴れるとも揺ぎだすとも口はいつも閉めてあるウィスキーを一日一本くらいお飲みになるので心配なのだけれども...
山崎富栄 「雨の玉川心中」
...小さな「悩める虫」がいるのだ...
蘭郁二郎 「夢鬼」
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